甘い風味の健胃剤
フェンネルは、食材として、またヘビの咬傷や目の病気などの目的で古くから使われてきました。
ティーにすると甘くスパイシーな香りがします。芳香性健胃剤として消化を促すとともに、駆風作用により鼓腸や疝痛を改善します。また、鎮痙・去痰作用を持つため、上気道カタルにも使われます。これらの働きはアニスやキャラウェイと共通しています。
精油も消化器系の不調に使われます。ホルモン分泌を調節する作用もあるため、ボディラインを整えるために使われることもあります。
学名 | Foeniculum vulgare |
植物分類 | セリ科 |
和名 | ウイキョウ |
原産地 | ハンガリー |
使用部位/抽出法 | 砕いた種子(果実)/水蒸気蒸留法 |
主成分 | トランスアネトール 60-80% フェンコン 8-20% アルファピネン 1-8% メチルカビコール 2-6% ORAC:238,400μTE/100g |
芳香 | 甘くスパイシーで、アニスに似ている。 |
精油の香りのタイプ/ノート | ハーブ系/ミドル |
香りの効能 | |
効能 | 抗糖尿病、抗炎症、抗腫瘍、エストロゲンに類似、消化助剤、抗寄生虫(虫)、防腐助剤、鎮痙、鎮痛剤、代謝を高める フェンネルはエストロゲンの生産を刺激し、出産と母乳分泌をたすけ、消化を促し、消化不良を抑え、心臓と呼吸器系を助け、寄生虫を駆除し、循環器系、呼吸器系を刺激する。 |
適応症 | 糖尿病、癌、肥満、関節炎、リウマチ、尿路感染症、むくみ、腸内寄生虫、月経問題、PMS、消化器系の問題 |
その他の使用例 | フェンネルは中世の時代に悪霊を追い払い、魔女が投じる呪文から身を守れると信じられていた。小枝は邪悪な幽霊を避けるためにドアに掛けた。何百年もの間、フェンネルの種子は消火剤として使用されており、月経周期のバランスを取ることにも使われた。最も古い既知の医療記録の一つ、(紀元前16世紀にさかのぼる)エーベルスパピルス、古代エジプトのリストには877の処方とレシピが記載されている。これは、この記録に記載されていた。また、初期のドイツの医薬書、ビンゲンのヒルデガルト(1098年から1179年)、高く評価されていたベネディクト漢方医により編纂された、ヒルデガルト医学書にも載っていた。 |
使用法 | エッセンシャルオイル1にV-6ベジタブルオイル1の割合で希釈する①2−4滴局部に塗布する。②チャクラ及び、又はヴァイタフレックス反射点にオイルを塗布する。③直接吸入する。④噴霧する。④サプリメントとして摂取する。 |
禁忌、注意事項 | ・てんかんの場合は使用しないでください。 |
コンパニオンオイル | バジル、ゼラニウム、ラベンダー、レモン、ローズマリーCTシネオール、サンダルウッド |

性質 | 温・燥 |
五行 | 土 |
支配星/星座/臓器 | 水星/乙女座/腸 |
歴史 | フェンネルが活用された歴史は古代にまでさかのぼります。アングロサクソンの料理に使用されたように、古代エジプトやギリシア、ローマ帝国、インドでも料理に医療にと使われていました。穏やかな利尿作用と痩身の効果にいちはやく着目したなかにはギリシア人がいて、このハーブに「痩せていく」というmarainoにちなんで、Marathronと名づけました。強壮と長寿のハーブとも知られ、オリンピック競技のトレーニング中に選手たちは種子を食べました。ローマ人たちは食後のシードケーキに消化によいフェンネルの種子を入れ、この植物の名称をfoeniculum(「草のような」)に変えました。フェンネルの種子は甘く、干し草のように香るためです。温・燥の性質に分類されるフェンネルには駆風作用や利尿作用、強壮作用があり、長く大切にされてきました。さらに視力や聴力を改善させると何世紀も考えられていたのです。 |
身体への作用 | キャラウェイ油やカルダモン油のように、フェンネル油の力が発揮されるのは、主に消化器系です。精油とハーブの浸出液の両方が胃腸の気の流れを促進させます。胃腸の平滑筋の痙攣を鎮めるため、精油は消化不良や膨満感、吐き気、ゲップ、腸内ガスの解消に役立ちます。また、便秘には、「腸のぜん動」を起こす助けになるでしょう。フェンネル油の気を整える作用は、胸部にも及びます。寒性の痰を除去するさようとともに、カタル性のせきや神経性の喘息の両方に効果的な処方となります。 腎気と脾気を活性化するフェンネル油には穏やかな利尿作用とリンパの滞留を解消する作用があり、余剰な体液や脂肪を取り除く助けをします。伝統的に痩身に役立つハーブとして有名なフェンネルですが、精油とハーブティーの両方がむくみ、セルライト、肥満に役立ちます。 |
心への作用 | フェンネル油は考えすぎと分析しすぎる傾向の人に適します。このタイプは概念や考えを生み出すことは容易でも、それを伝え、実行することはめったにありません。口下手で自己表現が不得手なために、感情を表現せず、しかし内心は激しく動揺することが多いのです。感情が内に蓄積され、激しさを増すと、緊張は高まり、腸に悪影響を及ぼします。認知されず、表現されない思いや感情は意識下に押しやられ、腸内に蓄積され、神経性の痙攣やガスとなります。 フェンネルは私たちが下腹部ではなく、口で自己表現することを励まします。滞って膿と化した感情を解放し、膨れ上がった心を清らかにします。こうしてフェンネル油は恐れや抑制に縛られずに、自由に対話する方向へと導きます。自信を持って自己表現できるようにするフェンネル油は創造欲を解放します。フェンネル油はジンジャー油と似て、進取の気性をもつ心に生産性の突破口を見つける手伝いをします。 |
伝令の神 メルクリウス
フェンネルはセリ科の多くの植物と同様に、ローマの神メルクリウス(ギリシア神はヘルメス、英名マーキュリー)とつながります。神々の中で最も足の速い伝令、メルクリウスは自己表現と伝達にかかわる能力を象徴します。
古い時代から薬草として用いられてきたフェンネル。古代ギリシア人は、ダイエットに利用していました。料理のスパイスとしても使われ、なかでも魚との相性が良いことから「魚のハーブ」ともいわれます。
フェンネルティーは、消化酵素の分泌を刺激して消化を促す効果があり、食べ過ぎたときに飲むと胃もたれを防いでくれるでしょう。腸内にたまったガスを取除く働きもするため、おなかが張って苦しいときにもおすすめ。利尿作用が、むくみの防止にも役立ちます。
また、ホルモン様作用があることから、母乳の出を良くしたり、生理痛をやわらげる効果もあります。
ティーに使う部分 | 種子 |
主要成分 | 精油、脂肪酸、フラボノイド、ビタミン類、ミネラル |
作用 | 血液循環促進、抗痙攣、刺激、抗炎症、利尿、去痰、ホルモン様、消化促進 |
香りと味 | 甘みのあるスパイシーな香りと味。 |
飲み方 | 軽く潰してから、シングルまたはブレンドで、通常の飲み方を。食前に飲む。 |
注意点 | 妊娠中や授乳中、高血圧の人は長期に渡る常用、大量の使用を避ける。 |
利用法 | ティーを使ってうがいをする(歯肉炎の予防、のどの痛みに)。料理に使う。 |
気を巡らせておなかのハリを解消。魚料理との相性が良い。
爽やかな香りが特徴的なハーブで、魚料理との相性は抜群。気の巡りをよくする働きがあり、イライラや胃の張り、ガスによるおなかのハリなどを解消する効果があります。種子はういきょうです。
体質 | 気滞・瘀血 |
五性/五味 | 微温/甘・辛 |
帰経 | 腎 |
主な作用 | イライラ、腹部膨満感 |
注意点 | 妊婦は禁忌。 |
【旬】4〜10月 【選び方】葉の緑色が美しく、ごわついていないもの 【主な栄養素】ネルンボシド、ビタミンB2・C |
消化を促進し、視力を回復させるなど、様々な薬効を持ち、花から根まですべてを利用できます。羽毛のようにふわふわとした葉は、脂肪分の多い魚の腹につめて包み焼きにするなど、魚料理によく用いられます。また、ドライの粉末は、中国のミックススパイス「五香粉」の減量となります。
生の茎葉は、そのままか刻んで魚、肉料理、マリネなどの香りづけにします。「フェンネルシード」と呼ばれる種子には甘い香りがあり、魚料理やカレーなどの香りづけに使います。
分類 | 多年草 |
草丈 | 100〜200cm |
性質 | 耐寒性、好日性 |
栽培のポイント | よく日の当たる場所を好んで育ちます。水はけの良い土と涼しく乾燥した気候が適しています。 根はまっすぐに伸び、草丈は人の背丈以上に大きく育つので、鉢植えではなく地植えがよいでしょう。移植に不向きなので、タネは直まきし、間引きをしながら、株と株の間隔を十分にとるようにします。こぼれダネで自然と殖えていくほど丈夫です。 近縁種には茎葉が銅色になるブロンズ・フェンネル、茎を食用にするフローレンス・フェンネルがあります。 コリアンダー、ディルとは交雑してしまいますので、近くには植えないようにしましょう。 |
収穫と使用方法 | 生葉を随時摘み取り、魚料理の臭み消しや風味づけなどに使います。 |
増やし方 | 種子・株分け タネは、薄茶色になったら茎ごと刈り取り、さらに熟すまで茎を束ねてつるしておきます。3〜4年して株が大きく生長したら株分けもできます。 |
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