vol.04 エッセンシャルオイル抽出のあけぼの

古代文明では、植物からアロマエッセンスやオイルを抽出するさまざまな方法が発見されていました。最も古く最も原始的な抽出方法は、アンフルラージュと呼ばれています。生の植物素材(通常は茎、葉叢、樹皮、根)を破砕し、オリーブ油もしくは動物性油脂に混入します。その他の植物油が使われることもあります。例えばシーダーの場合、幹と枝の樹皮をそぎ取り、粉上にひいてオリーブオイルに浸けた後、羊毛布の上にのせます。この布を加熱すると、熱によってエッセンシャルオイルが粉砕された樹皮からオリーブオイルにしみ出すので羊毛をしぼってエッセンシャルオイルを抽出します。サンダルウッドオイルもこの方法で抽出されます。

 

アンフルラージュは、花弁からエッセンシャルオイルを抽出する時にも用いられます。実際、フランス語であるアンフルラージュという言葉は、文字通り「花の香水で飽和させる」という意味なのです。例えば、バラやジャスミンの花弁を、アヒルやヤギの脂肪に入れます。エッセンシャルオイルの分子は花弁から脂肪に吸収され、その後に加工してエッセンシャルオイルを脂肪から分離させます。この古代の方法は、最も原始的なエッセンシャルオイルの抽出法のひとつです。

 

その他の抽出法も用いられていましたが、その代表的なものには次のようなものがあります。

・植物を熱湯に浸す

・低温で圧搾する

・アルコールに浸す

・植物材料に蒸気を通し、蒸気を凝縮させて植物からオイルを分離する蒸気蒸留法

 

水蒸気蒸留は蒸気が上方に移動し、植物材料の水分を飽和させることでオイルを含む植物膜をこじ開けさせてオイルを分離し、その後、蒸気で移動する気体になり、凝縮器に入り、油性テクスチャーに戻り、次いで自ら分離されることを意味します。

 

古代の化粧品は、多くがヤギの脂肪を基材に用いていました。古代エジプトではアイライン、アイシャドウその他の化粧品をこのようにして調製していたのです。また、髪や爪を各種の軟膏や香水で染めていました。エジプト貴族の女性は、香りのよいエッセンシャルオイルとロウからつくった香料の「ヘッドコーン」を身につけ、日中の熱気でコーンが溶ける時に放たれるオイルの豊かな香りを楽しみました。

 

寺院用のオイルは、神聖な儀式や宗教的な祭の行われる部屋で、蒸発して芳香を放つように皿に注いで用いられました。古代アラビア人はエジプトとは別に、蒸留の方法を発達させ、改良しました。そしてビザンチン帝国時代(AD330〜1400)に中東で好まれたローズオイルやローズウォーターの抽出方法を完成しました。

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