私たちの健康にもスキンケアにも欠かせない植物油についてのまとめ1

植物油とは何か

一般的な店舗にはさまざまな植物油がおいてあり、大豆油であろうと、ひまわり油であろうと、コーン油であろうと、植物油はどれも変わらないという印象を持ってしまいます。ほとんどの油が、通常は同じ黄色で、味も匂いもとても良く似ていて、ほとんどなんの匂いもしません。それは製造工程の結果によるものです。

 

本来、自然のままのオイルはそれぞれ組成がきわめて個性的で、スキンケアにおいても栄養的な価値においても、人間に対する作用はそれぞれ異なるものです。

 

油脂は植物の代謝生産物であり、殆どの植物がオイルを生産しますが、その量はそれぞれに異なります。特に大量のオイルを含んでいるのは、ナッツ、種子、胚芽です。オイルは植物にとってエネルギーの貯蔵物質であり、間接的には囮の役割も果たします。たとえば生命の実とも言われるヒッポファエ(スジナシグミ)は輝くようなオレンジ色の実で鳥をおびき寄せます。オイリーな果肉につつまれている種子は鳥に食べられ、消化され、別の場所で排泄されて分布が拡がっていきます。アボカドの場合も同じで、種子の周りのオイルをたっぷり含んだ果肉は、動物、昆虫をおびき寄せ、果実が遠くまで運ばれて食べられ、その結果、種子がばらまかれることになります。

 

種子の中には幼植物が成長するのに必要な良質のタンパク質や炭水化物、油脂などのあらゆる栄養が含まれます。幼植物が早く成長し、みずからの光合成によって太陽エネルギーをスムーズに転換できるように内部のオイルは短期間で分解されます。

 

植物に良いものは人間を助ける大いなる力であり、植物オイルに蓄積されたこれらの生命エネルギーを、人間は古来より生き残るために利用してきました。

 

『オイルはみな同じ』ではありません!

○植物オイルと植物脂は実際には同じであり、室温(24℃以下)で液状のものをオイルと呼び、24℃で固まるものを脂と言います。

○ミネラルオイルは石油製品であり、人間の細胞は代謝できません。

○精油は揮発性のある芳香物質で、油っぽくはないため、本来の意味でのオイルではありません。

 
 

オイルの製造方法と品質

この貴重な植物オイルの力をできるだけ余すところなく摂取するために、油脂の製造技術は絶えず改良を重ねて進歩してきました。その際に決定的だったのが収量をあげるために、植物からできるだけ多くのオイルを得ることでした。つい最近まで植物オイルの含有物質についてはほとんど知られていなかったため、オイルの自然のままの品質を保持することにはあまり重きをおかれていませんでした。

 

そのため、収量15〜50%の常温搾りから、収量85%にも達する高温・高圧下での高温搾りまで技術開発が進んできました。現在はさらに化学溶剤抽出法も加わり、大量加工技術における効果的、経済的な解決法となっています。

 

この技術を用いると、オイルの99%までもが採取できます。しかし、高温絞りと化学溶剤抽出法の場合には、その後オイルを精製しなければなりません。

 

 

精製したオイルとtrans(トランス)脂肪酸の関係

高温搾りでは加熱によってオイルのなかに化合物が生じます。それらは部分的に健康を害したり、飲食に適さないものであったりするため、得られたオイルを精製することが必要になります。

 

溶剤抽出法においては、種子または果実を粥状に砕き、軽ベンジンやヘキサンのような溶剤でオイルを抽出します。残念なことにこれらの溶剤は有毒で、例えばヘキサンには神経毒があります。そのため用いた溶剤はひきつづき蒸留して除去しますが、少量の残留溶剤はオイルの中に残る可能性があります。

 

この粗オイルを飲食に適する状態にするためには、高温搾りで得られたオイルと同じく、さまざまな酸やアルカリなどの化学物質を高温、高圧の物理的手段による手間のかかる工程で精製しなければなりません。

 

現在ほとんどの食用油は、高温搾りと溶剤抽出によって得られています。これらは同じ外観、同じ色や粘度で、匂いも味もニュートラルです。

 

これらの工業製品である精製油のメリットは明白です。精製油は、常温搾りのオイルとは対象的に高温加熱可能で、長く保ち、とても安価です。多くの人はボディーケアにも食用にもニュートラルなオイルを好むので、含まれていたワックスまたは残留農薬だけでなく、濃厚な匂い物質や味覚物質、色素物質までもが除去されています。

 

しかし、こうしたオイルはボディーケアにも食用にも使用を躊躇するような深刻なデメリットがあります。精製過程を経るたびに、価値の高い油脂微量成分が濾し取られてしまうだけでなく、健康に良い物質が部分的に健康を害する物質に変化することがあるのです。

 

あるオイルに含まれるtrans(トランス)脂肪酸の割合がどのくらいかというのは、高温や圧力などの精製過程の度合いによります。こうして市場に出回っているオイルではtrans(トランス)脂肪酸は最高17%、マーガリンの中には最高47%、スナック菓子に含まれる安価なオイルには最高58%という、法外に高い値が検出されることがあります。

 

価値の高い、常温搾りの植物オイルはそれに反して、ほとんどtrans(トランス)脂肪酸を含まず(1%以下)、それは常温搾りオイルや精製過程がマイルドな油脂を用いて作った高品質のダイエット用マーガリンも同様です。

 

 

常温搾りーもっともマイルドな製造法

植物オイルは、自然が人間にあたえたもっとも貴重な贈り物です。

 

常温搾りでは、健康な発芽能力のある種子または果実が機械的に砕かれ、常温で事前に加熱することもなく圧搾機に入れられます。圧搾過程においても圧搾機の温度が60〜75度を超えてはならないことになっています。圧搾、洗浄、遠心分離、濾過以外の過程を加えてはいけないことになっており、圧搾されたあとにはすぐに濾過されます。

 

こうした製造法においてのみ、不飽和脂肪酸(cis-脂肪酸)は変化せず、ビタミン、レシチン、芳香物質、その他の貴重な含有物質、そしてそれぞれのオイル特有の味と色はオイルの中に保持されます。

 

しかし、常温搾りのオイルに対する規定では、機械による圧搾の際に熱を加えてはいけないこととされており、高収量を得るために圧力を上げることがしばしばあります。その結果、圧搾過程で摩擦によって生じる温度が部分的に100℃以上になる場合があり、こうしたオイルは精製を要します。

 

オリーブオイルにのみ、EU(ヨーロッパ共同体)指針があり、常温搾りのオリーブオイルは精製してはならないと規定されています。そのため、自然食・自然品の連邦連合体(BNN)とNEUFORM改革運動ではその組合員のために、自然のままの常温搾りの本来(ネイティブ)のオイルの明確な品質基準を定めました。

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