vol.02 使用法の異なる流派

エッセンシャルオイルを使った治療に関しては、大きく分けるとイギリス流とフランス流という2種類のモデルが存在します。

 

イギリス流【香りが良いことが大切】

イギリス流のモデルでは、少量のエッセンシャルオイルを植物油で希釈し、それを使って全身をマッサージしてリラックスさせ、ストレスを取り除くことを勧めています。

 

リラクゼーションが主な目的で、香料や香水としての文化がルーツとなっています。そのため、合成香料を使ってでも良い香りであることが大切です。たとえば、本物のナチュラルなエッセンシャルオイルというのは、露地野菜のようにエグみや苦味があったり、香りが強すぎるということが多々あります。これまでの多くの研究で解明されているそれぞれのエッセンシャルオイルの構成成分(例:ラベンダーオイルには、酢酸リナリルやリナロールなど)を化学合成したものに、本物のエッセンシャルオイルをほんの少し入れるだけで、大勢の舌が美味しく感じられるように化学調味料で味付けした料理と同じようなもので、本物のエッセンシャルオイル以上に良い香りになることがあります。

 

誰もがリラックスできる良い香りと感じられるように合成されているため、リラクゼーションマッサージなどには重用されています。その代わり、混ぜものをしているため、エッセンシャルオイルを2%以下(メーカーによっては1%以下)に希釈して使用し、

『マッサージ』で体を整えています。(原液使用・飲用不可)

 

フランス・ドイツ流【純度の高さが大切】

フランスやドイツでは、エッセンシャルオイルは医療で使われています。医師や薬剤師の方がエッセンシャルオイルを扱うという資格を持ち、患者さんに対してお薬としても処方しています。医療を補完する目的で『芳香』『内用』『塗布』して使用されています。

 

以前ベルギーに住まわれている方が、体調を崩して病院を受診した時には、ラベンダーのエッセンシャルオイルを処方されたそうです。

 

「薬を飲むまでもないので、このラベンダーの香りをかいでリラックスして、ゆっくり身体を休めたら良くなりますよ。」という処方内容だったのだそうです。

 

フランス式のモデルでは、医療用エッセンシャルオイルを服用したり、希釈せずに局所に塗布します。一般的な内服方法では、数滴のエッセンシャルオイルをはちみつやパン、少量の植物油に落として服用します。フランスで治療にあたっている人々の多くは、内服によってすばらしい効果が得られると考えています。

 

また、ドイツのモデルではエッセンシャルオイルの吸入に焦点をしぼっています。香りとアロマの化合物が嗅覚に及ぼす効果は、脳、特に視床下部(身体のホルモン司令部)と辺縁系(感情を司る)に強い影響を与えることが研究によって明らかになっています。ミルラ(没薬)、サンダルウッド(白檀)、シダーウッド、ベチバー、メリッサ(レモンバーム)、フランキンセンス(乳香)などセスキテルペンに富んだエッセンシャルオイルは、脳の酸素量と活力を劇的に増加させ、身体の働きを向上させる助けになります。

 

 

エッセンシャルオイルの劇的な効果の体験

これらのモデルは、エッセンシャルオイルがいかに用途が広く強力であるかを示唆しています。ヴァイタフレックス、耳ツボ療法、タッチ療法、脊柱指圧、リンパマッサージ、レインドロップテクニックをこれら3つのモデルに統合すれば、最高の結果が得られます。

 

また、オイル使用の目的が成長ホルモンの分泌促進、減量、感情や気分のバランス回復ということであれば、エッセンシャルオイルの吸入の方が局所的な塗布よりも適切かもしれません。サンダルウッド(白檀)、ペパーミント、ベチバー、ラベンダーホワイトファーのオイルは吸入に効果的です。

 

一方、特に脊髄や筋肉の損傷や機能不全に関しては、エッセンシャルオイルの局所的な塗布のほうがよい結果をもたらします。局所に塗布すれば、マジョラムは筋肉に素晴らしい効果を発揮し、レモングラスはじん帯、ウインターグリーン(ヒメコウジ)またはバーチ(シラカバ)は骨格に効果的です。消化不良には経口でペパーミントオイルを一滴か二滴摂るのが効果的かもしれません。しかし、ペパーミントを胃部にマッサージしても同じ効果が得られないというわけであはりません。場合によっては、これら3つの使用方法(局所的塗布、吸入、服用)が類似の効果を発揮し、どれを用いても良い結果が出ることもあります。

 

エッセンシャルオイルは、心と身体の両方に作用するという点で、治療に用いられるナチュラルな物質の中でも特に際立っています。心理学的な意味でも身体機能的な意味でも、香りが効果的なエッセンシャルオイルもあります。また、鎮静作用のある香りをもつエッセンシャルオイルもあり、苛立ちや興奮を抑えてくれます。身体機能的なレベルでは、エッセンシャルオイルは免疫機能を高め、損傷した組織を再生します。さらに、ウイルスや細菌などの病原体を殺すことで感染症を防ぐ助けになっています。

 

おそらく最も一般的なエッセンシャルオイルの2つの使用法は、低温での吸入と希釈してないオイルを塗布することです。その他、リフレクソロジーやヴァイタフレックス、指圧などの療法にエッセンシャルオイルを取り入れることもあります。これらの療法とエッセンシャルオイルを組み合わせることにより、治癒効果を高め、鍼灸やリフレクソロジーのみでは達し得ないような驚くべき結果を生むことも少なくありません。ほんの1〜3滴のエッセンシャルオイルを鍼灸の鍼やヴァイタフレックスの手足の反射点に垂らすだけで、わずか数秒から1〜2分の間に効果が現れることもあります。

 

数年前、ヨーロッパの大学で、アロマテラピーの分野で有名なある教授が、エッセンシャルオイルを使って病気を治したと発表して偽医者だと言われました。しかし、エッセンシャルオイルを使って重病が治ったという生き証人が数知れずいます。エッセンシャルオイルは、何年も苦痛に悩んできた多くの人が痛みから開放される転機となっています。脊柱側弯症が矯正されたり、生まれついての聴力障害者の耳が聞こえるようになるなど、エッセンシャルオイルの力を実際に体験した人もいます。

 

たとえば、カリフォルニア州のパリセーズパークの女性は、重大でポリオを患って以来、脊柱側弯症に悩み、それが転倒事故と肩関節の脱臼によってさらに複雑な症状を呈するようになっていました。痛みと機能不全に悩むこと22年、彼女は肩の関節を一時的にではなく正しい位置に戻してくれる治療師を虚しく捜し廻りました。そしてエッセンシャルオイルのことを知るようになり、ヘリクリサム(ムギワラギク)、バーチ(シラカバ)、その他のエッセンシャルオイルを肩に局所的に塗布しました。すると、ごく短期間のうちに肩関節は正常な位置に戻り、痛みが消え去り、22年ぶりに腕を頭の上まで持ち上げることができるようになったのです。

 

このような劇的な回復を目の当たりにすると、エッセンシャルオイルの価値と力、秘められたすばらしさを否定しがたくなります。しかし伝統的な考え方の違いでオイルの力を信じられない人もたくさんいます。

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