不純物混合オイルとその危険性

今日、アメリカで売られているほとんどのラベンダーオイルは、ラバンジンと呼ばれる交配種で、中国、ロシア、フランス、タスマニアなどで栽培、蒸留されたのち、フランスに輸入されて香りを増すために合成酢酸リナリルで加工されます。さらに、プロピレングリコールやフタル酸ジエチル(DEP)、フタル酸ビス-2エチルヘキシル(DOP)のような無臭の溶媒を増量用に加えて、ラベンダーオイルとしてアメリカで売られるのです。

 

 

ラバンジンを加熱してカンフル分を蒸発させ、合成酢酸リナリルを加えることもよくあります。多くの消費者は違いに気づかずに、健康食品店、美容室、食料品店、百科店や通信販売などで、喜んで半オンス(約15ml)あたり7〜10ドル払うでしょう。エッセンシャルオイルを買うには、製造元や販売店が良心的なことを確かめる必要があります。

 

 

また、フランキンセンスの樹脂は、ソマリアで1トンあたり30,000ドルから35,000ドルで取引されていますが、この樹脂からエッセンシャルオイルを蒸留するには12時間以上の時間を要し、そのためオイルは非常に効果になります。1オンス(≒28.35グラム)25ドル以下で売っているようなフランキンセンスのオイルは、ゴム樹脂やアルコール、その他の溶媒を用いて安価に蒸留されたものであり、有害な化学物質を多量に含んでいます。残念なことに、このような加工オイル、合成オイル、不純物混合オイルによって発疹や炎症、その他の皮膚炎を起こした人は、なぜ期待した効果が得られないのかわからず、結局、エッセンシャルオイルには効果がないと思い込んでしまいます。

 

 

統計によれば、ある会社は全世界で生産される量の2倍にものぼるエッセンシャルオイルを使っています。いったいどこで水増しが行われるのでしょうか。

 

 

フランスでは、純正なラベンダーオイル(Lavandula angustifolia)の生産は1967年の87トンから1998年にはわずか12トンに激減しましたが、同じ期間にラベンダーオイルの需要は100%以上に増加しています。この需要を満たすラベンダーを市場はどこから入手したのでしょう。おそらく化学合成されたオイルと不純物混合オイルが使われたと思われます。アメリカ東海岸には巨大な化学工場がいくつもあり、個々のエッセンシャルオイルに対応する合成化学物質を専門に生産しています。純粋なエッセンシャルオイル1キログラムに対して、10〜100キログラムが化学合成されていると推定されています。

 

 

不純物が混合され、偽りの表示がされたエッセンシャルオイルは、消費者にとって危険なオイルです。ある女性は、やけどにラベンダーオイルが効くと聞き、熱湯を腕にかけてしまったときに近所の健康食品店で購入した『ラベンダーオイル』を使ってみました。ところが、良くなるどころか痛みは強くなり、やけどは悪化しました。その結果、彼女は、ラベンダーオイルはやけどには効かないと考えるようになりました。しかし、彼女の使った『ラベンダーオイル』は、分析の結果、ラベンダーの交配種であるラバンジンであることが判明しました。純正なLavandula angustifoliaとは化学組成が非常に異なっていたのです。ラバンジンはカンフルを高濃度で含み(12〜18パーセント)、それ自体が皮膚に炎症を起こします。それに対して本物のラベンダーはカンフルをほとんど含まず、ラバンジンにはない、やけどを癒やす効果のある物質を含んでいるのです。

 

 

化学合成され希釈液で増量されたオイルは、発疹や炎症、かゆみを引き起こすなど、非常に有害な場合があります。ジプロピレングリコールやジエチルフタレートのような石油系の溶媒は治療効果もなく、アレルギーの原因になります。

 

 

逆に、エッセンシャルオイルが『100パーセント純粋』であっても、希釈せずに塗布すると皮膚の炎症をおこすことがあります。たとえば、希釈しないオレガノのオイルを直接肌につけた場合、重度の赤変や炎症を生じることがあります。オレガノやシナモンのような柑橘系、スパイス系のオイルは、発疹を起こす可能性もあります。パインのような針葉樹系のオイルに含まれるテルペン類でさえ、肌が敏感な人はかゆみを感じるかもしれません。

 

 

試験所でエッセンシャルオイルから分離・テストされたいくつかの化合物の毒性を指摘した記事を見かけることがあります。また、ある種の『天然配合』のエッセンシャルオイル(エッセンシャルオイルをに含まれる5〜15種類の化学成分とおなじものを合成した人工オイル)には、予期しない副作用や毒性がみられることがあります。分離された化合物が有害であっても、純粋なエッセンシャルオイルにはほとんどの場合毒性はありません。それは、天然のエッセンシャルオイルには数百種もの異なった化合物が含まれていて、バランスを保ち、相互に効果を中和するからです。

 

 

エジプトを訪れる多くの観光客は、地元産のエッセンシャルオイル、特にロータスオイルを喜んで求めます。売り子は観光客にオイルが100パーセント純粋であることを証明するために、火をつけたマッチをオイルの入った容器の口に近づけて、アルコールや石油系の溶剤が含まれていないことを示します。しかし、このようなテストだけではオイルが純粋な証拠にはなりません。たとえばプロピレングリコールのような難燃性の溶剤をエッセンシャルオイルに添加できるからです。あるいは逆に、植物油の機材に可燃性の溶剤を加えて、燃えるようにすることもできます。テルペンを多量に含む何種類かの天然のエッセンシャルオイルは可燃性なのです。

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