若返りのハーブ
ハンガリーのエリザベス女王が、ローズマリーを処方した化粧水「ハンガリーウォーター」を使って若さと美しさを保ち、77歳のときにポーランドの国王から求婚されたというエピソードは、化粧水の処方とともに今も残っています。
ローズマリーは、古くから「若さを取り戻すハーブ」や「記憶力を増強させるハーブ」として知られています。全身性の強壮ハーブであり、強力な抗酸化成分をもち、さらに血液循環を促す効果にも優れます。なお、作用を緩和するときは、ラベンダーなどと併用します。
学名 | Rosmarinus officinalis |
植物分類 | シソ科 |
和名 | マンネンロウ |
原産地 | フランス、米国 |
使用部位/抽出法 | 葉の蒸気蒸留 |
主成分 |
1,8シネオール(ユーカリプトール) 38-55% α(アルファ)-ピネン 9-14% β(ベータ)-ピネン 4-9% カンフェン 2.5-6% ボルネオール 1.5-5% リモネン 1-4% ORAC:330 μTE/100g |
精油の香りのタイプ/ノート | ハーブ系/ミドル〜トップ |
香りの効能 | 精神的な疲労の克服、精神的明朗さや集中力を向上させる。 |
効能 |
ローズマリーは抗真菌性、抗バクテリア性、殺菌性、抗寄生虫性をもち、一般的な刺激剤である。精神の明朗さを高め、神経や内分泌腺の近郊を助ける。 肝臓保護、抗炎症、抗腫瘍、抗真菌、抗菌、抗癌、抗うつ薬、高血圧の緩和、精神的な明快さ、集中力を高める |
適応症 | リウマチ、関節炎、筋肉痛、肝炎、肝臓病、月経不順、高血圧(少量服用)、低血圧(多量服用)、消化不良、気管支炎、呼吸器感染、肺感染、抜け毛(円形脱毛症)、ぜんそく、感染症、喉、記憶障害、ニキビ、アルツハイマー病、体重減少 |
その他の使用例 |
ローズマリーは集中力を増し、頭皮を刺激する。 ローズマリーは15世紀に疫病が流行ったとき、墓泥棒たちが疫病の感染を防ぐために使った「マルセイユの酢」または「4人の泥棒の酢」の原料であった。 ローズマリーオイルの名前は、ラテン語の海の露(ros+marinus)に由来している。 民間伝承の歴史によれば、ローズマリーの花ははじめ白であったが、処女マリアが彼女の外套をこの木にかけてから赤に変わったという。 古代ギリシャ時代(およそ紀元前1000頃)、ローズマリーは香を焚くために使われていた。その後の文明において、ローズマリーの香は悪魔を追い払うと信じられ、のちに病気の感染を防ぐための慣習としてローズマリーの香が焚かれた。これは、初期のドイツの医薬書、ビンゲンのヒルデガルト(1098年から1179年)高く評価されていたベネディクト漢方医により編纂された、ヒルデガルト医薬書に記載されていた。 最近まで、フランスの病院では空気を殺菌するためにローズマリーを使用していた。 |
使用法 | エッセンシャルオイル1にV-6ベジタブルオイル1の割合で希釈する①2−4滴局部に塗布する。②チャクラ及び、又はヴァイタフレックス反射点にオイルを塗布する。③直接吸入する。④噴霧する。⑤サプリメントとして摂取する。 |
禁忌、注意事項 |
・4歳未満の子どもには使用しない。 ・すでにACE阻害処方薬を使用している場合、高血圧にローズマリーを使用しない。 ・てんかんがある場合は注意して使用する。 ・妊娠中や治療中は医師に相談の上、使用する。 |
コンパニオンオイル |
バジル、ユーカリ・ラディアータ、ラベンダー、マージョラム、ペパーミント、パイン |
性質 | 温・燥 |
五行 | 火 |
元素 | 火(熱2度・乾2度) |
支配星/星座 | 火星/牡羊座 |
歴史 |
ローズマリーは薬用植物の中で最も強い芳香をもつ一種で、幅広い効用があります。古代エジプトではその小枝を儀式で焚き、亡きファラオの統治した世を思い起こすように王の墓に捧げる習慣もありました。古代ギリシャとローマでは、ローズマリーは忠誠心や死、記憶の象徴であり、さらに学問を象徴する神聖な植物でした。結婚式や厳粛な誓いを行う重要な祭事では、信頼と誠実を表すローズマリーの花冠や頭飾りをつけました。ヨーロッパではこの伝統が何世紀も引き継がれ、富裕な家庭では招待客に金メッキを施して贈る愛と友情の証でした。 ローズマリーは、死者への敬意と永久の思いを表現するため、葬儀にも焚かれました。古代人に集中力を増す価値を見いだされ、何世紀にもわたって記憶力との関連性を信じられたローズマリー。それを裏付けるかのように、悲劇のヒロイン、オフィリアは「これがローズマリー。記憶の花」と言うのです。 幸運を呼び、魔法や魔術から身を守ると考えられたローズマリーですが、これは伝染病から身を守り、健康を回復させた薬効にあるのかもしれません。「ローズマリーを多く見るべし」とウィリアム・ランガム(1597)は忠告し、「ローズマリーを風呂に入れると、汝は元気を回復し、活力を取り戻して喜びにあふれ、気力が出て若返るであろう」と続けます。 |
身体への作用 |
初めてローズマリーの水蒸気蒸留が行われたのは13世紀のこと。利用価値が最も高く、活力を与える精油の一つであるこのハーブは、体の陽気の強壮に優れた作用があり、気血の循環も促します。性質は温性で、味は辛味。刺激性があり、心身の不快感を一掃する助けとなります。 心気を活性化するローズマリー油は心臓の拍動を強め、動脈血の流れを促します。そのため、心臓の軽度の疲労や動悸、低血圧、手足の冷えによい作用があります。さらに、脳の血流量を増加させ、集中力の欠乏と神経衰弱に役立つ働きは健脳作用に分類されます。気血を動かす申し分のない筋肉の強壮剤で、筋肉のコリやこむらがえり、痛みに効果的。さらに、リウマチに最適な精油の一つで、寒証の柔軟性を失った萎縮性の関節痛に適します。 ローズマリー油の去痰作用は寒証のカタル性の咳と気管支炎にもよいでしょう。駆風作用と催胆作用は、消化不良や鼓腸、膨満感を解消する助けになります。 |
心への作用 |
伝統的に精神を高揚させるハーブとされたローズマリーの占星学の支配星は生命力と個人主義の象徴、太陽。情熱を新たにし、自信を高めるハーブとして、無気力と憂うつに古くから処方されてきました。ローズマリー油が適するのは冷淡で虚弱な体質の人で、自尊心が低く、健やかな強い自我に欠けるタイプ。ここでいう自我とは、世界で自己価値を見出す能力と、自己実現を追求する原動力を示唆します。考えすぎて、自らの王道を逐一疑う彼らの性質は、決意を弱め、「命門の火」に”水をかける”ことになります。心を強め、「神」の力を増して、自己の能力を疑う人の自信と意欲を高めます。スピリットを温め、勇敢にさせるのです。 |
光の神 アポロン
古代ギリシャの人々がローズマリーを献上したアポロンは太陽神であり、医薬や音楽、詩、予言をつかさどる神でした。人間の勇壮果敢な側面と意識的な決断力を元型的に象徴するアポロン。それは、ローズマリー油が活性化する力と同質のものです。
ローズマリーティーは、血行を促して代謝を活発にし、心身の活力を高めるのに効果的。過労気味のときや病後に飲めば、からだの回復を早めます。また、脳の働きを活性化して、記憶力や集中力を高める作用もあるといわれています。試験勉強や会議の前に飲むと良いでしょう。
さらに、殺菌、消化作用にも優れ、風邪や頭痛、消化不良の緩和にも役立ちます。
ティーに使う部分 | 地上部 |
主要成分 | 精油、フラボノイド、フェニール酸、カルノシン酸(ロスマリネシン)、ロスマリン酸、トリテルペン酸、タンニン、苦味質、樹脂 |
作用 | 防腐、抗酸化、去痰、うっ滞除去、血行促進、消化促進、収れん、リラックス、駆風、抗痙攣、抗うつ、利尿、殺菌 |
香りと味 | 目が覚めるような刺激的な味と香り |
飲み方 | シングルまたはブレンドで通常の飲み方を。フレッシュも可。 |
注意点 | 妊娠中や高血圧の人は、連続して長期間飲用するのは避ける。香りが強いのでブレンドするときは量を控えめにする。 |
利用法 |
ティーを化粧水として使う(老化肌に)。 ティーでうがいする(風邪予防に)。 ティーをリンスやヘアトニックとして使う(育毛に)。 バスタブに入れて入浴する(血行促進に)。 洗面器に入れて足浴をする(足の疲れをとる)。 葉の粉末をお菓子やパンの風味付けや、魚や肉料理の臭み消しに使う。 |
目が覚めるような刺激的な香り。記憶力と集中力をアップする。
体質 | 気滞・瘀血 |
五性/五味 | 温/辛 |
帰経 | 心・胃・肺 |
主な作用 | 記憶力と集中力アップ |
注意点 | 妊娠中や高血圧の人は、長期間にわたって連続で食べることを避ける。 |
【旬】5〜9月 【選び方】香りが強く、葉が肉厚で緑色が濃く、鮮やかなもの 【主な栄養素】カルノシン酸、フェノール酸、ロスマリン酸 |
清涼感のある香りが特徴で、血行促進や殺菌、消化促進、抗アレルギー作用などの効能が期待できます。また、脳の働きを活発にして、記憶力や集中力を高めるといわれています。
全草に強い香りがあり、葉にはたっぷりと樹脂がついています。殺菌、酸化防止作用があるため、食品の保存によく利用されています。(乾燥させたローズマリー(Rosmarinus officinalis )の葉から抽出した天然の酸化防止剤ROE(ローズマリー・オイル・エクストラクト)、別名ローズマリー・オレオレジン。)
肉や魚料理の風味付けやスープ、シチューなどの煮込み料理によく使われます。
生の葉は香りが強く、ラムや鹿などのにおいの強い食材や魚料理の臭み消しに利用したり、若い枝をオイルやビネガーの香り付けに用いたりします。ドライもお菓子などの風味付けに使いますが、生、ドライともに香りが非常に強いので少量を用いるようにします。
分類 | 常緑小低木 |
草丈 | 20~200cm |
性質 | 半耐寒性、好日性 |
栽培のポイント |
地中海沿岸に分布するハーブでアルカリ性の土を好みます。垂直に茎が伸びる立ち性タイプと、横に這うように伸びる匍匐性タイプと、中間の半立性タイプがあります。 よく日の当たる場所で、水はけの良い土であれば、特に土質を選ばずによく育ちます。 一度植えると木質化して大きな株に生長し、ほぼ1年中収穫できるようになります。鉢で育てる場合は、株の生長に合わせて大きめの鉢に植え替えましょう。ただし移植に弱いのでどちらかといえば地植えが向いています。 夏の暑さや乾燥には強いのですが、蒸れやすく、枝葉が茂りすぎて下葉が枯れることがあるため、夏には収穫も兼ねて切り戻しすると良いでしょう。 挿し木で簡単に殖やすことができます。 |
収穫と使用方法 |
よく枝分かれしてきたら、密生を防ぐためにも、枝の部分から随時摘み取ります。肉料理の臭み消しや、ジャガイモ料理などに用います。 |
増やし方 |
種子・挿し木 若い枝の先端7〜8cmを切り取り、水の入ったコップなどにつけて水揚げし、挿し木にします。 |
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