リラックス効果絶大
ラテン語のワラーレ(洗う)を語源とするラベンダー。古代ギリシアの時代から怒りや執着を鎮め、心身の浄化に使われてきました。中世にはドイツの女子修道院長であるヒルデガルドにより、ヨーロッパ全土に広められたとされています。
現在のドイツでは、不安や就眠障害にはハーブティー、精神披露や自律神経失調症には入浴剤、神経痛にはチンキ剤が使われています。
ラベンダーの精油は、刺激が少なく、しかも幅広い領域にわたって効果を発揮します。常備しておきたい精油です。
学名 | Lavandula angustifolia |
植物分類 | シソ科 |
和名 | 真正ラベンダー |
原産地 | アメリカ・フランス |
使用部位/抽出法 | 花/水蒸気蒸留法 |
主成分 |
酢酸リナリル 21-47% リナロール 23-46% シス-β-オシメン 1-8% トランス-β-オシメン 1-5% テルピネン-4-オール 1-8% ORAC:360μTE/100g |
芳香 | 爽やかなハーブ調で、ソフトなフローラル調。苦味のある甘さ。 |
精油の香りのタイプ/ノート | フローラル系/ミドル |
香りの効能 |
肉体的にも精神的にも心を落ち着かせ、リラックスさせ、バランスをとる。ラベンダーは集中力と鋭敏さを向上させると報告されている。 マイアミ大学の研究者は、ラベンダーオイルの吸入は、脳内のβ波を増加させ、リラックスさせたことを示唆した。それはまた、うつ病を減少させ、認知能力を改善した(ディエゴMA、1998)。2001年の大阪教育大学の研究では、ラベンダーは精神的ストレスを減少させ、注意力を向上させることがわかった(本村、2001)。 |
効能 | 防腐剤、抗真菌剤、鎮痛剤、抗腫瘍、抗痙攣、血管拡張、弛緩、抗炎症、血中脂肪、コレステロールを減少させ、皮膚の過剰な皮脂を軽減 |
適応症 | 呼吸器感染症、高血圧、動脈硬化、月経の問題、PMS,皮膚疾患(会陰修復、にきび、湿疹、乾せん、瘢痕、妊娠線)、やけど(細胞の再生)、脱毛、不眠、神経の緊張 |
その他の使用例 |
ラベンダーは様々な用途に使用できる万能のオイルである。 軽いやけどをした時にはすぐに塗布できるように、台所の火気から離れたところに常備しておくと便利。患部を充分水で冷やして落ち着いたら、原液を塗布します。1日5〜6回塗布し、必要な場合は絆創膏などでカバーする。 関節炎、ぜんそく、気管支炎、ひきつけ、うつ病、耳の痛み、心悸亢進、高血圧、発疹(じんましん)、虫刺され、咽頭炎、精神の緊張、呼吸器感染、リウマチ、のどの感染などにも効果がある。 |
使用法 | ①2-4滴局部に塗布する。②チャクラ及び、又はヴァイタフレックス反射点にオイルを塗布する。③噴霧する。④サプリメントとして摂取する。 |
禁忌、注意事項 |
・ラベンダー精油の中には、ハイブリットラベンダー(ラバンジン)、合成リナロールと酢酸リナリル、またはエチルバニリンのような合成香料化学物質と混ぜ、品質純度を落としているものも多い。 |
コンパニオンオイル |
ほとんどのオイル、特に柑橘系オイル、カモミール、クラリセージ、ゼラニウム |
性質 | 涼・燥 |
五行 | 火、木 |
元素 |
風(熱2度、湿1度) |
支配星/星座 | 水星/乙女座 |
歴史 |
数ある品種の中で最も重要な種はスパイクラベンダー(Lavandula spica)、フレンチラベンダー(Lavandula stoechas)、そして真正ラベンダーあるいはイングリッシュラベンダー(Lavandula officinalis、Lavandula angustifolia、Lavandula vera)です。効用の点からいうと、申請ラベンダーが最も重要だといえます。 しかし、スパイクラベンダーには古代ローマ人が入浴の際にラベンダーを入れて香りを楽しんだという歴史があります。 ラベンダーは最もよく知られるハーブですが、その涼やかで柔らかな芳香は古代から称賛されてきました。ディオスコリデスが「汝の胸にある憂い」に効果があると推奨し、のちには聖ヒルデガルド・フォン・ビンゲンが「純粋な性格を保つ」ために勧めました。1660年にリチャード・スーフレは、「このはなの蒸留水は失った声を取り戻し、心臓機能の衰えや病を癒す」と記述しています。 |
身体への作用 |
ラベンダーの冷やし、炎症を消散させ、緊張をほぐす作用は、炎症やけいれん、痛み、落ち着きのなさなどの熱性の症状に効果的です。また、精油の殺菌作用は多岐に及ぶ炎症症状に適します。 ジャーマンカモミール油のようにラベンダー油も肝熱の過剰なうっ血を調整し、冷やし、頭痛、偏頭痛、便秘、イライラを解消します。心気を鎮静させて保つ働きは、神経性の緊張、不眠、動悸、高血圧にもよい働きがあります。この精油の鎮痙作用と鎮痛作用は腹痛、過敏性腸症候群、月経前の緊張、筋肉のコリと痛みなど様々な不調に効果的です。さらに穏やかな抗感染作用が泌尿・生殖器系と呼吸器系の感染症に有効です。 |
心への作用 |
ラベンダー油は、心気を落ち着かせて安定させます。『神』の住処の『心』は精神と感情の全体的なバランスを維持します。ラベンダー油は心の中核の働きを支えるため、神経の緊張を和らげ、パニックやヒステリーを落ち着かせます。ジョン・ジェラルドは、「ラベンダーは心臓の情熱と動悸に役立つ」と記しています。芳香植物の救急箱として、心の許容範囲を超えて脅かす、いかなる激しい感情でさえも鎮静させます。 ラベンダー油はさらに、『木』の不調和であるうっ積した感情を解放し、気の流れをなめらかにし、欲求不満やイライラを和らげます。パターン化された行動に閉じ込められたうっ積した精神のエネルギーを解放します。ハーバリストのピーター・ホームズがいったように、旧習を打破し、危機感を和らげるのです。特に押し殺した感情の高ぶりを解消させます。 |
医療の神 アスクレピオス
ラベンダー油の多岐にわたる効用と名高い癒やしの力は、ギリシアの癒やしの神アスクレピオスに最も象徴されます。アポロンの息子、アスクレピオスは、芸術・科学・医療の奥義を含めた幅広い知識をもつケンタウルスの一人、ケイロンに育てられました。
そのすがすがしい香りと可憐な花が古くから愛され、「ハーブの女王」とも呼ばれるラベンダー。栽培品種は100種類を超えるといわれています。
不安や憂うつな気分で眠れない夜にラベンダーティーを飲んでみましょう。精神的なストレスをやわらげて、次第にリラックスし、心地よい眠りに誘われます。イライラした時はその心を落ち着かせてくれます。神経性の頭痛やめまいなどにも有効です。また、熱を伴う風邪やインフルエンザ、喘息などには、このティーを熱いうちに飲みましょう。発汗を促し、熱を下げるとともに、体外に毒素を排出するのにも役立ちます。
ティーに使う部分 | 花 |
主要成分 | タンニン、クマリン、フラボノイド |
作用 | 鎮痛、抗菌、防腐、抗痙攣、駆風、鎮静、抗うつ、神経強壮 |
香りと味 | シャープですがすがしい花の香りと味わい。 |
飲み方 | シングルまたはブレンドで、通常の飲み方を。安眠には就寝1時間前に飲む。 |
注意点 | |
利用法 | ティーを使ってフェイシャルスチームをする(ニキビ、肌荒れに)。ヘアリンス、ポプリ、入浴剤、菓子類やジャム、ビネガーなどの香りづけに使う。蚊などの虫よけに使う。 |
色の美しさをいかして、生の花を砂糖漬けにしてお菓子などの飾りに使います。生のラベンダーを水で洗い、水気を拭き取ってから2〜3日つるして乾かしたものを、瓶などの容器に砂糖と交互にいれていきます。花穂と一緒に焼き菓子に混ぜるとラベンダーの香るお菓子ができます。
このラベンダーシュガーはココナッツオイルや精油と混ぜて、ボディスクラブとして使うこともできます。
分類 | 常緑小低木 |
草丈 | 30〜100cm |
性質 | 耐寒性〜非耐寒性 |
栽培のポイント |
冷涼で乾燥した気候を好むため、日本の梅雨のような高温多湿は最も苦手です。風通しと水はけを保ち、やや乾燥気味の土で育てます。枯れてしまう場合の原因は、水と肥料の与えすぎが多いので、控えめを心がけましょう。 タネから育てる場合、発芽までに時間がかかり、また、形や香りにばらつきが出てしまうことが多いので、初心者は苗から育てるのがよいでしょう。 |
収穫と使用方法 | 花が咲く直前がもっとも香りのよい時期。フレッシュのまま切り花として楽しんだり、枝ごと乾燥させてつぼみの部分をもぎ取り、お茶やポプリに使ったりします。 |
増やし方 |
種子・挿し技・株分け さし木で増やすのが比較的簡単です。その年にできた新しい枝の先端7〜8cmを挿し穂にします。 |
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