vol.05 エッセンシャルオイルの歴史

新約、旧約を通して、聖書には200を超えるアロマ植物、香木、軟膏に関する記述があります。フランキンセンス、ミルラ、ガルバナム、シナモン、カッシア、ローズマリー、ヒソップ、スパイクナードなどのアロマ植物が、聖別や病気の治療に用いられています。『出エジプト記』では、聖別用のオイルとして、神はモーセに次のような処方を告げています。

 

ミルラ  500シェケル(約1ガロン/3.8リットル)

シナモン  250シェケル

カラマス  250シェケル

カッシア  500シェケル

オリーブ油  1ヒン(約1 1/3ガロン)

 

『詩篇』133章2節には、アロンと彼の共同体として共にいるその子らを祝福する儀式について、「かぐわしい油が頭に注がれ、ひげに滴り、衣の衿にたれ、衣のすそまで満たすように注がれた」と記されています。また、貴重なオイルが惜しげもなく注がれる聖別の記述として、『伝導の書』9章8節に、「あなたの衣を常に白くせよ。あなたの頭に油を絶やすな」とあります。

 

聖書には、アロンによる香木のささげものが疫病を防いだことも記されています。『民数記』16章46〜50節には、モーセがアロンに「主が民に対して怒りを発し、疫病が始まっている。火皿を取ってそれに祭壇から取った火を入れ、その上に薫香を盛って急いで会衆のところへ持って行き、彼らのために罪を贖いなさい」と告げたことが記されています。聖書によれば、アロンがモーセの言った通りに、焚いた薫香を持って民の罪を購い、死んだ者たちと生きている者たちとの間に立った時に疫病は止んだと記されています。聖書やユダヤ法律書の香木の処方に3種のシナモンが含まれているのは象徴的です。シナモンは微生物、感染、細菌に対する抑制効果が非常に高いことで知られています。これもまた、感染やウイルスの予防に効果があったのでしょう。

 

新約聖書には、3人の賢者が幼子のキリストにフランキンセンス(乳香)とミルラ(没薬)を捧げたことが記されています。さらに、特別な香料であったスパイクナードについての記述が、キリストの聖別の部分にあります。

 

マルコ伝14章3節には、イエスがベタニヤで、重い皮膚病にかかっていたシモンの家にいて食卓についておられたとき、ひとりの女が非常に高価で純粋なナルドの香油が入れてある石膏の壷を持ってきて、その壷を壊して中の香油をイエスの頭に注ぎかけたと記されています。

 

イエスに聖油を注ぐ場面は、ヨハネ12章3節にも、「マリヤは高価で純粋なナルドの香油を一斤持ってきて、イエスの足に塗り、自分の髪の毛でそれを拭いた。すると香油の香りが家いっぱいに広がった」と記されています。

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