私たちの健康にもスキンケアにも欠かせない植物油についてのまとめ2

植物オイル含有物質の秘密

本来、自然のままのオイルと工業製品である精製油の違いを理解するためには、植物オイルの含有物質について知る必要があります。

 

すべての植物油脂と植物オイルは、グリセリンと3つのいわゆる脂肪酸との化合物という同じ原理でできていますが、エネルギー供給源としては脂肪酸が人間の体内に欠かせないものとなっています。その構成は非常に多様で、そのために人体において非常に異なった作用と反応を引き起こす可能性があります。

 

 

飽和度

生化学では化学構造によって、飽和脂肪酸、あるいは一価または多価の不飽和脂肪酸と呼びます。

 

飽和脂肪酸は、おなかいっぱいで、緩慢な、あまり活動的でない脂肪酸を比喩的に表したもので、化学では不活性と言います。この脂肪酸が他の分子と新しい結合をほとんど作らず、体の中でまず『脂肪(貯蔵物質)』に移行します。

 

不飽和脂肪酸(cis-脂肪酸)は、積極的に他の物質と結合したり、場合によっては反応(代謝)します。その原因となっているのがいわゆる二重結合です。エネルギーを与えるとすばやく二重結合を解き、空いた”鎖”で他の分子と新しい結合を作ります。脂肪酸が二重結合を多く持っているほど、つまり不飽和であればあるほど反応しやすくなります。(代謝活性あり)

 

多価の不飽和脂肪酸を高濃度に含んでいるオイルは、代謝にアクティブに介入してくるため、規則的な細胞代謝を乱さないためには、毎日大さじ1杯以上は飲まないほうが良い。
 
 

飽和脂肪酸はお蔵入り

飽和脂肪酸は適度に食べるには健康的で、ヘッド、ラード、バターの中に多量に含まれます。ヤシ油の中にも、チョコレートやパン、ケーキ類にも多く含まれます。飽和脂肪酸は人体がすぐには分解せずに、まず「しかるべき場所」に溜め込まれる純粋な貯蔵物質であるため、真の肥満原因物質です。素晴らしく美味しいチョコレートタルトは残念なことにあっという間に「お蔵」へ、すなわちお腹や腰の肉となってしまいます。昔はこの事象が人間が生き延びるためには必要でした。体の中の「お蔵」は飢餓時にそこからエネルギーを融通するため、脂肪をほぼ無制限に溜め込むことができたからです。しかし、今では腰回りの脂肪は時代遅れで、誰もが充分すぎるほどに溜め込んでいます。
 
 
※実際には必ずしもすべてのオイルが肥満の原因物質なのではなく、オイルの「飽和度」によります。人間の組織はエネルギーとさまざまな作用の脂肪酸やその微量成分を必要としています。そこで脂肪酸の含有量を知り、不飽和脂肪酸をおもに含んでいるオイルを選ぶことが重要になります。
 
 
 

不飽和脂肪酸には代謝活性がある

不飽和脂肪酸、なかでも多価の不飽和脂肪酸は物質代謝に不可欠でありながら、人体では合成されない、必須脂肪酸(生命に必須の物質)です。そのため「ビタミンF」とも呼ばれますが、これは正しくありません。
 
一価の不飽和脂肪酸 オリーブ油やアーモンド油のオレイン酸が挙げられる。一価の不飽和脂肪酸はよく代謝される。すなわち体に有用な物質に転換できる。
二価の不飽和脂肪酸 代表として挙げられるのは、紅花油やひまわり油に出現するリノール酸である。
三価の不飽和脂肪酸 もっとも代謝(反応)を好む脂肪酸で、即座に物質代謝に入り込んでくる。代表としては多少異なる作用をもつが、α(アルファ)リノレン酸(アマニ油、ヘンプ油)や、γ(ガンマ)リノレン酸(月見草油やボリジ油)が挙げられる。

 

 

乾性か不乾性か

脂肪酸の組成は、食を通じての作用のほかに、スキンケアの際に適用できるかどうかをも決定します。空気にさらされてどのように変化するかによって、乾性、半乾性、不乾性の油脂に分類されます。

 

乾性のオイルは、多価不飽和脂肪酸であるリノール酸とリノレン酸を約50%含み、これらは代謝(反応)を好むため、すばやく空気中の酸素と結合して(酸化)、樹脂化し、膜状の乾燥した表面を形成します。

そのもっとも良い例は亜麻仁油です。

 

セサミ油のような半乾性のオイルは、多価不飽和脂肪酸を50%以下しか含まないため、酸化の速度も遅い。

 

不乾性のオイルは、多価不飽和脂肪酸を20%以下しか含まず、例えばオリーブ油のようにしなやかで安定した油膜がつくられる。

 

そのため、亜麻仁油を長期間皮膚に塗ると、なんだか乾燥した感じがするが、不乾性の性質をもつアーモンド油やオリーブ油を塗ると、心地よい、しなやかな感触が得られます。

 

 

 

不飽和脂肪酸の偉大な治癒力とは?

必須不飽和脂肪酸は物質代謝を通じて、体内で多くの役割を果たします。

 

一般的な作用

胆汁の流れを高め、血圧とコレステロールレベルをおだやかに下げ、免疫系をサポートし、ストレスホルモン、痛み、炎症をコントロールします。内服すると刺激を緩和して、胃や腸の粘膜を保護します。細胞の成長を促進するため、、皮膚を内側から強壮にすることができます。

外用すると、皮膚の機能を持続的にケアし、サポートするため、乾癬、湿疹、神経皮膚炎、乾燥肌、脂性肌、ニキビ肌など多くのスキントラブルに効き、また、脱毛のときに補完的に用いると良いとされ、そのため『皮膚のビタミン』とも呼ばれます。

 

不飽和脂肪酸の一般的な作用とは別に、個々の不飽和脂肪酸は、それぞれ特有の性質を有しています。

オレイン酸 例えばオリーブ油のオレイン酸は、心臓、循環、血管系とともに皮膚を保護し、胆汁の分泌を高めて消化促進する作用がある。
リノール酸 ひまわり油のリノール酸は、免疫系を強壮にし、ホルモンのバランスをとり、皮膚を再生(細胞更新)し、心臓、循環、血管系を保護する。
α-リノレン酸 亜麻仁油のα-リノレン酸は、人体のつくる鎮痛剤に相当し(魚油と同じ)、炎症を抑制し、血液の流動性を促し(血栓生成症の際)、細胞の修復メカニズムをサポートする。
γ-リノレン酸 月見草油のγ-リノレン酸は、ホルモン収支にポジティブな影響をおよぼし、心理的に明るくし、神経皮膚炎や皮膚のかゆみなど、多くの皮膚の病気を治す専門家である。

 

 

ホルモン分泌の促進

不飽和脂肪酸の特性がたくさん挙げられる理由は、それが特に組織ホルモンの形成を活性化するからです。これらは人間の組織体における数多くの調節物質の前駆体であり、細胞の機能が正常に働くように調整しています。

 

重要な組織ホルモンとしては、たとえばプロスタグランジンがあり、ほとんどすべての器官で検出されます。プロスタグランジンには、善玉と悪玉があります。善玉のプロスタグランジンE1とE3(PGE1,PGE3)はアレルギーの反応を抑え、ストレスホルモン、インスリン、性ホルモンをコントロールします。また、神経の過度の興奮を鎮め、心臓の活動を強くし、血圧の調整をつかさどり、痛みを軽減し、炎症を抑制し、血流速度を早め、皮膚疾患(神経皮膚炎、乾癬)に効き、免疫系を刺激します。

 

動物性の脂肪とtrans(トランス)脂肪酸を過度に摂取した場合、悪玉のプロスタグランジンE2(PGE2)がどんどん作られます。

 

このホルモンは多くの症状の進行の原因となります。例えばアレルギー、気管支喘息、高血圧、動脈硬化症、血中脂肪レベルの上昇、血液凝固(どろっとした血)、血栓生成、リウマチ疾患、痛み、炎症などです。

 

そのため動物性油脂よりも不飽和脂肪酸を多量に含んだ植物オイルを摂取したほうが良い。

しかし、この植物オイルを過度に摂取しすぎないこと、不飽和脂肪酸(cis-脂肪酸)を有する自然なままの常温搾りの植物オイルを摂取することが前提となる。

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