産後の心とからだ

出産を終えたおかあさんたちは、大まかには3つの段階を経て、心理的にも社会的にも母親になっていきます。
まず出産直後の1~2、自分が出産したことに対する実感を得たいという強い欲求があるため、詳細にわたって出産中のことを知りたがります。そして赤ちゃんをじっと見るだけでは満足せず、赤ちゃんにさわり、指を数えたり、気が付くと自然に抱いてしまっていることもあります。これも出産体験に対する確認作業のひとつで、この時期を受容期と呼びます。
一方では、自分自身に必要な基礎的なセルフケアで精一杯で、子どもの世話については依存的で決断力がなく、責任を感じる様子が見られないこともあります。この時期はおかあさんが出産を肯定的に受け止めることができるように、まわりの人たちが充分訴えを聞いてあげることが必要です。
さらに10日間ほどは、独立と自立のためにおかあさんは努力します。ただし、そのためには授乳をはじめる時期が母乳が出ても出なくても乗り越えられて、かつ、からだの回復が順調で、苦痛なく自身の身体機能をコントロールできることが条件になります。この時期、思い通りに出ないおっぱいに悪戦苦闘したり、赤ちゃんのゲップが上手に出せなかったり、抱き方が下手だったりなど、たとえ些細なことでも母親失格をいい渡されたぐらい深い絶望に追いやられ、逆に上手にできたときの喜びと安心感は非常に大きいものです。マタニティーブルーといわれるうつ的な感情を味わうのも、このころです。
この抑うつは、一部はホルモンと関係しており、一部は母親になるための心の調整と考えられ、疲労により症状が悪化しやすい傾向があります。
赤ちゃんがなにを必要としているかを自分で考え、判断を下し、その判断が正しかったことが証明される、その繰り返しによりおかあさんは熟練し、自身を深めていきます。
そして、ようやく母親としての機能が確立し、赤ちゃんが自分とは分離した別個の存在であることを受け入れ、子どもの世話を障害やっていく立場であることを自覚する段階になるのです。
本人ももちろん、パートナーや身近な人たちが、このような産後の精神状態を認識しながら、育児の第一歩をスタートすることは大切なことですね。

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