西洋人参
陽性も強いが陰性も強いのが人参です。陽性ファクターは、造血に役立つカロテン。カロテン(carrotin)の語源はキャロット(carrot)というぐらい人参にはたくさんのベータ-カロテンが含まれています。ベータ-カロテンは、あらゆる万病の元といわれる活性酸素を除去し、免疫力を増強し、様々な感染症やガンを予防することが分かっています。カロテンは体内でビタミンAに変化しますが、ビタミンAは視力の回復、その他の眼病、皮膚病や肌荒れにも良いとされています。カロテンは油と一緒に摂取すると吸収がいいので、炒めたり油揚げと合わせて調理することをおすすめします。
ミネラルとしては、強力な浄化力を持つイオウ、リン、カルシウムが多く含まれるので、胃腸、肝臓を浄化し、骨や歯を強化するのに役立ちます。また、人参に含まれるコハク酸カリウム塩には、血圧を下げる作用や体内の有害な水銀を排泄する作用があることが分かっています。
欧米の自然療法を行う病院では、人参2本、リンゴ1個で作る生ジュースコップ2〜3杯を必ずと言ってよいほど万病のメインセラピーにしているほどです。
金時人参
関西のお正月料理に欠かせない金時人参。こちらの赤色はカロテンではなくリコピンによるものです。リコピンはカロテンの一種ですが、体内でビタミンAに変化しません。トマトにも豊富に含まれるリコピンにも、活性酸素を除去する働きがあり、血糖値を下げたり、動脈硬化予防や美肌、血液改善効果があるとされています。
アトピーのように皮膚が赤くなっていたり、痔がある場合は、人参が表皮をゆるめて症状を悪化させるので、治まるまで食べるのを控えたほうが良い場合もあります。
Q.気になる農薬を落とすには?
人参の旬は5月、9月、10月です。春と秋が特に美味しいぐらいに覚えておくと良いです。
人参の場合、流水中でたわし、スポンジなどで5〜6回こすり洗い。こすって洗える野菜はとにかくこすって洗えば間違いないと思ってください。
ポイントは皮むきです。それほど農薬を使って育てる野菜ではないので、皮をむくだけでOKです。特に厚くむく必要はありません。花型などの型抜きも簡単で安心な防衛策です。
また、人参を選ぶ際には、葉を落とした茎の切り口が大きすぎず、小さくて中心にあるものの方を選びます。大きいものは育ちすぎて固く甘みが少なくなっている傾向があるからです。ひげ根のくぼみが浅いものほど、肥沃な土地でのびのび育った人参です。
人参
血を補って、目の疲れを癒やす
血を補い、肝の働きを高める作用があります。肝は目の機能と関係が深いので、眼精疲労やドライアイ、夜盲症、視力の低下などの目の症状改善にも効果的です。また、消化吸収を高めるため、食欲不振や下痢、便秘にも良いでしょう。
人参の赤はカロテンの色。肌や粘膜、目の角膜、胃腸や肺、気管などの各種臓器の上皮細胞を健やかに保ち、免疫力を高めます。また、抗酸化力も高く、老化防止や抗がん作用も期待されます。
にんじんの薬効データ
体質 | 気虚、気滞、血虚、陰虚 |
五性/五味 | 平/甘 |
帰経 | 肺・脾・肝 |
主な作用 | 眼精疲労、ドライアイ、食欲不振、下痢、便秘、貧血、美肌、免疫力アップ、老化防止 |
注意点 | 特になし。 |
食べ合わせ |
+プルーン・あんず・くるみ・アーモンド →子どもの体力増強に 蒸し人参をつぶして、プルーン・干しあんずなどのドライフルーツや、くるみ・アーモンドなどのナッツ類を刻んだものと混ぜれば、自然な甘みがおいしいデザートに。常食するとおなかを丈夫にして体力を増強します。 |
旬 |
4〜7月、11〜12月 |
選び方 |
にんじん特有の赤みが強く、なめらかでハリがあるもの |
主な栄養素 |
カリウム、カルシウム、カロテン、ビタミンC |
高麗人参(コウライニンジン)
漢方や生薬として使用される高麗人参は、多年草のウコギ科オタネニンジン(御種人蔘)の根を乾燥させたもの。
原産地は中国・遼東半島から朝鮮半島にかけての地域といわれ、中国東北部やロシア沿海州にかけ自生しています。
薬用または食用に用いられ、チョウセンニンジン(朝鮮人蔘)、コウライニンジン(高麗人蔘)、また単に人蔘とも呼ばれており、カルシウムや鉄分、カリウム、亜鉛、アミノ酸、ビタミンB群などの100種類以上もの栄養素を含んでいます。
その中にサポニン(ジンセノイド)という成分がありますが、サポニンは「活力向上」「美容効果」「リフレッシュする効果」があります。
サポニンは自然界において様々な植物が含んでいる成分ではありますが、高麗人参の含有量は、それらを圧倒的にしのぎます。
今では世界中で人気のある健康食品となっています。
五性/五味 | 温/甘・苦 |
帰経 | 心・脾・肺 |
効能と適応症 |
気を補う:疲労や体力の低下に 胃腸の機能を整える:食欲不振、消化不良に 口の渇き、多汗 |
主な配合処方 |
人参湯(にんじんとう)、加味帰脾湯(かみきひとう)、十全大補湯(じゅうぜんたいほとう) |
西洋参(セイヨウジン)
西洋参は、同じくウコギ科のアメリカニンジンの根を乾燥させたものです。人参と同じように気を補いますが、作用が穏やかで体に潤いを与えるので、のぼせやすい体質の人におすすめです。特に肺の熱を冷ます作用があり、咳や呼吸困難、血痰などを改善します。
陰虚や陽熱タイプの気力アップや夏の補益に人参の代わりに使うと良いとされています。
五性/五味 | 寒/甘・苦 |
帰経 | 肺、心、腎 |
効能と適応症 | 疲労倦怠感、のどの渇き、咳、呼吸困難、血痰 |
主な配合処方 | なし |
にんじんに含まれる薬効成分は、皮のすぐ下にもっとも多く含まれています。なるべく皮はむかずに調理を。皮をむく場合も、包丁の背でこそげ落とすなど最小限にとどめて。
人間のカラダの基礎がためをしてくれる根菜類。造血・解毒作用にすぐれています。
にんじんにはカロテンが多く、貧血予防や造血にもってこいの食べものです。顔色が青白い人はたくさん食べること。油と一緒に摂ると効率よく吸収されます。
ビタミンCも多いので、うるおいのある肌も期待できます。
また、にんじんの青い葉が手に入ったらかき揚げにしてみましょう。ビタミン、ミネラルが多く、目の疲れをとってくれる美味しいお惣菜になります。
にんじんと玉ねぎのラペ
【材料】
にんじん・・・1〜2本(300~400g)
玉ねぎ・・・1個
酢・・・大さじ4
オリーブオイル・・・大さじ2
砂糖・・・小さじ1
塩・コショウ・・・少々
【作り方】
1.にんじんは千切りスライサーで千切りにする。玉ねぎはフードプロセッサーなどでみじん切り。
2.ボールに酢、オリーブオイル、砂糖、塩、コショウを入れてよく混ぜ合わせ、味を見る。
3.にんじんと玉ねぎを加えて、上下を返すようによく混ぜ合わせる。
4.消毒した容器に入れて冷蔵庫で保存する。1週間程度まで。
食べる時に、レーズンやくるみなどのドライフルーツやナッツを混ぜたり、味付けにガーリックハーブソルトなどを入れても美味しいです。色合いも良いので、付け合せにもおすすめ。
根菜スープ
病後の衰弱・体力低下
【材料と作り方】
人参1本、ネギ、じゃがいも、玉ねぎを適量加えてとろ火でじっくり煮込んだスープを、塩や醤油で味付けして飲む。
煎じたエキス
肝炎
【材料と作り方】
乾燥した人参約120gを刻んで、コップ3杯の水で半量になるまで煎じて飲む。
人参の濃縮エキスが参泉。造血作用があり、心臓が弱い方や貧血気味の人におすすめです。小さじ1杯を湯に溶いて飲むほか、ジャム代わりにも。
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