野菜の中で大根は陽性な方ですが、ごぼうやにんじんに比べると白くて太く、水分が多いことからも分かるように、根菜の中では中庸の位置にいます。
でんぷんを分解するジアスターゼのほか、タンパク質や脂肪を分解する消化酵素が含まれていて、魚の毒消しになるため、魚をたくさん食べてきた日本人には欠かせない野菜です。
また、解熱発汗や利尿を促し、解毒作用や抗酸化作用、血液浄化作用があって、胃を健康に保つのにも効果があります。
腎臓が萎縮して顔が黒ずんでいる人にはふろふき大根が、肥満や高血圧に悩む人には、大根おろしやなますがおすすめです。
Q.気になる農薬を落とすには?
夏から冬にかけて、品種によって旬はいろいろ。選び方は当たり前のようですが、白くてツヤがあるものを。
葉がついているものは、葉を見てパリッとしているものを選びましょう。
農薬は上からかけるので、主に葉の部分に残っています。土壌がダイオキシンに汚染されていたとしても、大根だけを使うなら、洗って泥をしっかり落とし、包丁で皮をむけば十分です。
葉を使う場合には、農薬の残留が心配なので、一度ゆでこぼします。
①葉を流水中でよく洗ったあと、2センチほどに切る。
②熱湯で2分ほど茹で、冷水にとって水気をしぼる。
この下ごしらえをしてから、油炒めや味噌汁などに使えばぐっと安心です。
大根
消化を良くしておなかをすっきり
気の巡りをよくして、胃腸の調子を高める作用があります。さらにジアスターゼという消化酵素も多く含むため、胃もたれや消化不良、おなかのハリなどの不快感も解消されます。ジアスターゼは熱に弱い性質があるので、おなかをすっきりさせたいときは生のまま食べると効果的でしょう。
また、身体の余分な熱を取り除き、痰を取り除くので、せきやのどの痛み、痰の症状を改善します。痰飲タイプの人のダイエットにもおすすめ。
大根の薬効データ
体質 | 気滞、水毒、陽熱、痰飲 |
五性/五味 | 涼/甘・辛 |
帰経 | 肺・胃 |
主な作用 | 胃もたれ、消化不良、痰のあるせき |
注意点 | 気の通りを良くして、下ろす働きがあります。補気の漢方薬やにんじんと同時に食べると、補った気を消耗してしまいます。服用前後は食べないようにしましょう。 |
食べ合わせ |
+はちみつ 痰のある咳に 痰を切る大根と、咳をとめて肺を潤すはちみつの組み合わせで、咳止め効果アップ。大根のおろし汁にはちみつを加え、咳が出ている時に頓服で飲むといいでしょう。 大根の角切りをはちみつや麦飴に漬けて一晩置くと、はちみつにエキスが溶け出すので、これをお茶で割って飲みます。おろししょうがを加えても○。風邪を引きやすい人は秋口から常食すると風邪予防になります。
+魚 「焼き魚にだいこんおろし」は理にかなった組み合わせ 大根には、アミラーゼやオキシダーゼという酵素があります。アミラーゼはデンプンを分解する作用があるので、消化不良や胃もたれなどを改善します。オキシダーゼはタンパク質や脂肪を分解するだけでなく、発がん物質を抑制する効果も知られます。これらの酵素は加熱すると失われるため、大根おろしでとるのがベスト。からだを冷やすので、温の性質をもつ魚や肉と組み合わせると中和できます。 |
旬 |
11〜3月 |
選び方 |
青首の部分が明るい緑色で、ひげ根のあとが小さく、全体にハリとツヤがあってずっしりと重いもの |
主な栄養素 |
根:ジアスターゼ、ビタミンC 葉:カルシウム、カロテン、食物繊維、ビタミンC |
豊富なビタミン・ミネラルと消化酵素をあわせもつ、台所薬局の要的存在
大根役者の言葉の通り、大根は”あたらない”ことで有名な肉魚の毒消し名人。消化を助ける作用が強く、食用以外にもさまざま使い方があります。
根にたっぷりある水分やビタミンCは、排尿を促進。繊維質は参加した腸に作用し、炎症をしずめて熱を下げてくれます。
血液を粘らせている過剰なタンパク質を分解・消化する酵素もあるため、腎臓の機能が正常に戻り、むくみが解消。病気を悪化させるウイルス(タンパク質でできている)やアトピーのかゆみの原因になっている過剰なタンパクを消してくれる効果も期待できます。
また、大根の葉には陽性のビタミンやミネラルが多く、油で炒めて食べると皮膚や葉が丈夫になります。とくにカルシウムが豊富ですので、骨粗鬆症の予防にもおすすめです。
干した葉は体質改善の特効薬で、入浴に用いると身体が温まり、血の巡りがよくなります。
第一大根湯
解熱・発汗
風邪の高熱、急性腎盂腎炎、急性膀胱炎、急性中耳炎、耳鳴り、腰痛、肩こり(右)、じんましん、アトピーのかゆみ、鼻炎、動物性タンパク質やニコチンの解毒に
毒素を吸着し、余分なものを分解する大根、抗炎症作用のあるしょうが、血行をうながす醤油が相乗効果を発揮します。
急に高い熱が出たときは、1回400mlを飲みます。それ以外の症状や解毒には1日200mlを。
ただし虚弱体質、心臓病、貧血があるなど陰性体質の人は、醤油の分量を多めにして飲んでください。
【材料】1回分(高熱の場合の分量。それ以外は半量で)
大根おろし・・・大さじ山盛り3
しょうがおろし・・・大根おろしの1割
醤油・・・大さじ1
熱い番茶・・・約400ml
【作り方&飲み方】
大根としょうがをおろして器に合わせ、醤油を加えてから沸騰している番茶を注いで、あつあつを一気に飲み干します。熱が高い場合はそのあと40分ほど、頭まで布団をかぶって汗を出します。汗が出ない場合はもう一度大根湯を飲み、同じことを繰り返してください。
第一大根湯 2番
のどの痛みなど、風邪による諸症状に
熱がそれほど高くない場合に用います。れんこん入りなので、とくに軽い咳やのどの痛みを改善する美味しい薬膳スープです。
【材料】1日分
大根・・・薄い輪切り3枚
れんこんの節・・・輪切り数枚
干ししいたけ・・・大3枚
水・・・3カップ
醤油・・・少々
【作り方&飲み方】
鍋に醤油以外の材料を全部入れて火にかけ、汁が2カップほどに煮詰まったら薄い醤油味をつけて熱いうちに飲む。
1日3回に分けて飲用。
大根おろし汁&りんごジュース
風邪熱や頭痛、食べすぎに
大根湯が飲めない人や子どものための代用食箋です。りんごジュースが混ざることで甘くソフトな口当たりになります。
大根、りんご、ともに消化酵素がたっぷりで、腸を整えて余分な熱やカロリーを分解してくれます。
【材料】1回分(子どもは半量で)
大根おろし・・・50ml
りんご100%ジュース・・・100ml
【作り方&飲み方】
大根おろし汁とりんごジュースを混ぜ合わせて飲みます。大根はビタミンCを有効に使うため、飲む直前にすりおろしてください。
大根干葉湯
全身の血行促進、冷え性、生理不順、子宮筋腫や子宮内膜症などの婦人科系疾患、泌尿器系の諸症状、アトピー性皮膚炎に
大根の葉には身体をあたためる硫黄分やカルシウム、カロテン、ビタミンDなどの陽性ファクターがいっぱい。それを干した葉には、さらに太陽エネルギーという陽性さが加わっています。
入浴剤に用いると、婦人科系の病気や不調に効果があります。
特に腰湯は、腰の部分に集中している内臓の神経を刺激し、とどこおった内臓の働きを活性化させて冷えからくる陰性症状全般を改善してくれます。肌に入っていく温かさがやわらかく、いつまでもポカポカと温かいのが特徴です。
また、干葉を煮出したエキスを浴槽の湯に加えると、アトピー性皮膚炎や夜尿症にも効きます。
寒気がしたりつわりのあるときは、干葉の足湯をしても良いでしょう。
大根の干葉は自分でも簡単に作ることができます。無農薬の大根の葉を十分に日光にあてて茶色になるまで乾燥させたら出来上がりです。
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手当て法①腰湯
【材料】
大根干葉・・・4〜5株
(または市販のパック1袋)
水・・・3リットル
湯・・・10〜30リットル
(自然塩)・・・1/2カップ
大鍋に干葉と水を入れて約40分煮出し、湯を入れたたらいに干葉を除いて煮出したエキスを加えます。少々熱いと感じる程度に差し湯をし(湯冷めしやすい人は塩も加えます)、足は出して腰だけ浸かります。
湯の温度が冷めたら足し、額に汗をかく程度に20〜30分腰湯を続けます。
手当て法②入浴
もめんの袋に大根干葉数株を詰めて口をしばり、水から入れておふろを沸かします。
沸かし式ではないお風呂の場合は、【手当て法①腰湯】のように干葉の煮出しエキスを作ったものを浴槽の湯に加えて入浴します。
手当て法③足湯
【材料】
大根干葉・・・大きめ1株
水・・・1リットル
湯・・・2〜3リットル
自然塩・・・大さじ1
鍋に干葉と水を入れて20〜30分煮出し、洗面器やバケツなど足湯をする容器に移します。塩を混ぜ、差し湯をして集めの温度(42〜45度)に調節し、足をつけます。
冷めてきたら熱湯を足し、全身がうっすら汗ばむ程度まで続けます。終わったらタオルで足をよく拭きましょう。
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