アンチエイジング&認知症を予防する、簡単なトレーニングとは?

香りの力

嗅覚は人の感情や本能、記憶にとても影響すると言われています。

 

少し前に、香りを嗅ぐことによって昔の恋人のことを思い出すという歌詞の『香水』という歌が流行りましたが、香りを嗅ぐことですごくリラックスしたり、美味しそうな香りをかぐと急にお腹が空いたり…香りによって過去の記憶や気持ちを呼び起こすことがあります。

 

鼻からかいだ香りは、嗅覚野で匂いとしてキャッチされます。

 

この嗅覚野が、ホルモンの調節や本能、情動を司る脳の視床下部や、記憶を司る海馬のとても近くにあることから、香りをかぐことによって、不安やリラックスなどの感情や、過去の記憶や気持ちに大きく影響するのです。

 

これだけ脳の大切な部分に近いところでキャッチされる香り。自然の香りなのか化学合成された人工的な香りなのか。毎日嗅ぐ香りの影響はとても大きいものです。

 

また、最近では、お隣の洗濯物のにおいや、職場の人や学校のお友達の体操服のにおいで具合が悪くなってしまうため、勤務先や学校に通えないという新たな『香害』が生まれています。

 

 

生まれたばかりの赤ちゃんは目がよく見えなくても、お母さんのにおいを嗅ぎ分けることができます。赤ちゃんの嗅覚はとても発達していて、お腹の中にいる時からかいでいるお母さんのにおいが分かるのだそうです。嗅覚の発達している赤ちゃんに人工的に合成された香りは強すぎるかもしれません。

 

 

新型コロナウイルスの症状の一つに『嗅覚障害』がありますが、嗅覚がなくなると、食事の美味しさや風味がわからなくなったり、ガス漏れなどの危険を察知してその場から避難することもできなくなるなど、私たちにとって嗅覚というのはとても大切な働きをしています

 

しかし、嗅覚はトレーニングをしないとどんどん衰えてしまいます。嗅覚にかかわる嗅神経細胞は死滅と再生を繰り返しているまれな細胞ですが、においの刺激を与えないと細胞の死滅が進み、嗅覚が衰えてしまいます。

 

においを嗅ぐ能力(嗅覚)は、実は10歳代をピークに20歳代から衰え始め、男性は60歳代から、女性は70歳代から急激に衰えます。嗅覚の衰えは、視覚や聴覚よりも気づきにくく、実際に気が付いていない人がほとんどです。なぜなら、私たちは同じにおいをかぎ続けていると、そのにおいを感じなくなったり、非常に弱くしか感じなくなるというように順応してしまい、普段の生活でにおいを意識することが少ないからです。

 

嗅覚が低下すると「食べ物が腐っていることに気が付かない」、「ガス漏れに気が付かない」など命の危険を招く可能性があり、また、嗅覚が低下している高齢者は嗅覚が正常な高齢者より認知症になりやすく、寿命が短くなるともいわれています

 

介護の現場経験からも、また、医療現場のさまざまな研究からも、認知機能の衰えは嗅覚の衰えからどんどん進行していくことが分かっています

 

60歳代になると急激に低下する嗅ぐ力ですが、リスクを回避することで低下を食い止め、元の状態に戻すこともできます。

<回避するべきリスク>

 ①鼻の病気(慢性副鼻腔炎、風邪の後の嗅覚障害、アレルギー性鼻炎)を治療する

 ②生活習慣病を改善する(動脈硬化のある人は嗅覚低下を起こしやすい)

 ③禁煙する

 ④運動をする

 ⑤風邪を引かないよう心掛ける(引いたら早く治す)

 

 

 

『におい(嗅覚)トレーニング』

最近は嗅神経細胞の再生を促す『嗅覚刺激治療』が注目されています。

 

実は、嗅覚は鍛えれば鍛えるほど、香りが分かるようになり、香りを嗅ぎ分けることができるようになります

 

近年の研究によってにおいを嗅ぐ能力こそが、心や体の健康やアンチエイジングに大きく影響することが分かってきています。

嗅覚トレーニングや香りの力を取り上げた書籍もたくさん出版されています。

 

 

においを嗅ぐという負担のない方法によって、誰でも簡単に『嗅覚刺激治療』(におい(嗅覚)トレーニング)を行うことができます

 

食べ物を食べる時も、最初ににおいを嗅ぐようにすると、嗅覚が良くなっていきます。

 

自分の好きな異なるにおいを3~4種類選び、選んだにおいを10秒ぐらいずつ、1日4~6回ほど頻繁に嗅ぐことで、鼻の中にある異なる嗅覚受容体(においセンサー)が刺激を受けて活発になります。

 

その時「これは〇〇のにおい」と意識をして嗅ぐと効果がアップします。かぐにおいは好きな香水、コーヒー、レモン、お花など何でもよいです。簡単なので嗅覚の衰え予防のためぜひ始めてみてください。

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