アロマテラピーとは?

アロマテラピーとは

アロマテラピーとは、「芳香療法」と訳される自然療法です。英語の表記「Aromatherapy」をフランス語で発音するとアロマテラピー、英語で発音するとアロマセラピーとなります。日本ではアロマテラピーが一般的ですが、海外ではアロマセラピーの方が本来の発音に近く、アロマセラピーで統一されているようです。

 

芳香植物(ハーブなど)から抽出されたエッセンシャルオイルの芳香成分を体内に取り込むことで、体調や精神の乱れを調整するなど、健康や美容に役立てます。最近では病院や鍼灸治療院などでもアロマテラピーを利用して治療を行なっているところもあり、医学的見地からも薬理効果が検証されているそうです。

 

アロマテラピー先進国であるフランスでは、ドクターが医療現場で代替医学の一つとして精油の効果効能を利用し、クライアントの治療に使われています。それはちょうど薬草を煎じて体調を整える漢方のようなもので、病気を「AだからB」と対症療法的に抑えつけようとする現代医学に対し、「アンバランスな部分を補完し、本来あるべき調和を取り戻そう」という考えに基づいている東洋医学とも通じるものがあります。日本でも、自然療法の一つであるアロマテラピーは、副作用の心配も少なく安心して利用でき、病気の原因の一つとも言われているストレスケアを含めたホリスティック(全体的)な医療として、注目され始めています。

 

例えばペインクリニックで皮膚疾患のケアや、産婦人科で出産を促すために、抗炎症作用やリラックス効果があるとされるラベンダーが使われています。私自身も陣痛時には、キャリアオイルに分娩促進効果があるとされるクラリセージやジュニパー、気持ちが明るくなるような香りのパルマローザを加えて作ったマッサージオイルを持参して、心地よい香りで陣痛を乗り切りました。産後の病室では抗菌・抗ウイルス・室内清浄効果があるとされるオレンジのエッセンシャルオイルを香らせて、明るく幸せな気持ちで過ごせました。

 

アロマテラピーの歴史

古代 紀元前3000〜90年ごろ

先史時代から始まる植物と人類の関わり

化石人類で知られるネアンデルタール人のお墓に、草花の花粉の跡が発見されています。

先史時代からすでに、花の美しさを愛でる心は存在し、植物と人間の深い関わり存在したのではないかと思われます。

さらに古代のエジプトでは、死後の世界と魂のよみがえりが信じられ、魂のよみがえり信じられ、魂が帰ってきたときの入れ物「ミイラ」を作るときに、フランキンセンスやミルラなど防腐効果のある植物を使用。神殿も薫香として重宝されました。

またクレオパトラがバラの香りをこよなく愛し、入浴や香水に使用していたという話はあまりにも有名です。

 

中世 11〜16世紀ごろ

エッセンシャルオイルの蒸留法が確立。奇跡を呼ぶ水として噂に

17世紀まで西欧の医学系大学の教科書としても親しまれた、有名な医学書「医学典範」の著者である哲学者のイブン・シーナが、エッセンシャルオイルの蒸留法を確立したことから、本格的なアロマテラピーの歴史が始まります。中世ヨーロッパの僧院医学でハーブやエッセンシャルオイル、アルコールなどが使われるようになります。有名なのは、14世紀のハンガリー王妃エリザベート1世が、晩年手足が痛んだときに修道僧から献上された、ローズマリー中心の鎮痛剤。王妃の病状が回復したばかりか、外見がみるみるうちに若返ったといいます。それ以来、「若返りの水」と評判に。

 

現代 20世紀〜現在

アロマテラピーという言葉が実際に使われるようになったのは、1931年ごろのこと。

フランス人化学者ルネ・モーリス・ガットフォセが使いはじめたことによります。彼は科学実験中に事故でやけどを負い、とっさに目の前のラベンダーのエッセンシャルオイルをかけたところ、みるみる回復。その威力に驚き、エッセンシャルオイルの効能に気づいたのでした。

そして1960年代、フランスの生化学者マグリット・モーリーが「エッセンシャルオイルで心身を美しく健やかにする」という考え方を提唱。以後この考えはイギリスに広まり、「ホリスティック・アロマテラピー」に発展しました。

 

世界のアロマテラピー

アロマテラピーは世界中で愛されている自然療法です。本格的に日本に入ってきたのは30年ほど前。もともと西欧では広く親しまれていたものでした。

特にフランスでは、医療の現場で国家資格を取得した医師たちにも利用されています。それは、アロマテラピーが心と体のケアに役立っているという証拠で、安心して活用できるとても頼もしい存在です。

イギリス

心と体をひとつと考えるホリスティックアロマテラピー、医学的アロマテラピー、エステティックアロマテラピー、3つの流派が根付き、広く認知されています。

 

*世界3大流派のひとつ

イギリスではエッセンシャルオイルをキャリアオイルで希釈してマッサージに用いたり、リラクゼーションや香り、心地良さなどを楽しみます。

また、エッセンシャルオイルを飲用することや希釈せずに肌につけることは禁じられているのが一般的です。

 

ドイツ

アロマテラピーを植物療法(フィトセラピー)として捉えているのが特徴で、エッセンシャルオイルだけでなく、薬草療法、食事療法を一緒に学ぶ自然療法士が国家資格として認定されています。

 

*世界3大流派の一つ

エッセンシャルオイルを吸引し体内の器官や脳、細胞組織に働きかけることを主としています。

 

フランス

アロマテラピー発祥の地であるフランスでは、医師による「メディカルアロマテラピー」が確立。エッセンシャルオイルは薬局で処方され、内服も認められています。予防医学の重要なカギを握るものとして普及しています。

 

*世界3大流派の一つ

精油を嗅いだりマッサージに使用することはもちろん、原液塗布・飲用するなど、医療機関で処方し、ヒーリングやメディカル(治療的)な使い方で用います。
日本ではイギリス式の考え方で広がりましたが、1990年頃から医療従事者や研究者の一部に精油の持つ様々な効用が広がっています。
2014年にTVで紹介された「認知症対策」でも大変話題となりました。

 

アメリカ

非常に人気の高い代替医療のひとつとなっている。心地よく健康維持にも有用な方法として、大学での研究も盛んになってきています。

 

オーストラリア

「家庭の薬箱にはエッセンシャルオイル」というほど生活に根付いています。ユーカリやティートリーが、原住民アボリジニたちの時代から薬草として愛されてきました。

 

日本

心の病気や生活習慣病が広く認知されるようになり、現代医学だけでは超えられないハードルを多くの人が感じ始め、代替医療やホームケアの手段として、広く親しまれるようになってきています。

 

日本の医療分野でも広がるメディカルアロマテラピー

アロマテラピーは日本でも単なる代替療法にとどまらなくなりつつあります。

 

アロマテラピー先進国であるフランスでは、ドクターが医療現場でエッセンシャルオイルの効果効能を利用し、クライアントの治療に使われています。日本でもまだ少数ではありますが、そのような医療現場が増えてきました。

 

病気の原因となるストレスケアも含めたホリスティック(全体的、全人格的)な医療を求める声の高まり、従来の西洋医学的治療を補うものとして注目され始めたからです。副作用が少なく、安心してクライアントに利用できることも大きなポイントです。

 

たとえばペインクリニックで皮膚疾患のケアにラベンダーが使われたり、産婦人科で出産を促すために利用されたりするようになってきました。そのほかにも歯科や心療内科など、そのフィールドは徐々に広がりつつあります。

 

このようにアロマテラピーを治療として活用するには、ドクターがアロマテラピーに精通していなければならないため、まだまだ一部のクリニックでしか活用されていませんが、エッセンシャルオイルの心と身体に作用するパワーは、医療分野においても徐々に高い評価を獲得しつつあります。

産婦人科

香りのリラックス効果を利用して安産を促進

エッセンシャルオイルを浸かって妊娠線予防のマッサージをしたり、会陰の伸びを良くして出産時の会陰切開を予防するために、妊娠34週以降から会陰マッサージをしたり、さまざまに利用されています。

 

心療内科

心を開いて話してもらうための潤滑油として

クライアントが心を開いて話をしやすくするために、そのクライアントの心の状態に合ったアロマを利用。問題解決までの道のりをグッと短縮するサポート役に。

 

歯科

治療の痛みに対する緊張を和らげる力に

独特のにおいが苦手という患者さんが多いことから、アロマを香らせる病院も登場。心地よい香りで、治療に対する緊張も和らぎます。また、殺菌作用のあるエッセンシャルオイルを歯の消毒に用いるケースも。

 

皮膚科

穏やかな作用が注目され、アトピー治療などに

症状の軽いアトピー肌に、ラベンダーやカモミール・ジャーマンなどのエッセンシャルオイルを使うケースがみられます。薬と違って副作用がないので、予防として使われることも。

 

大学病院でも補助的なケアとしてアロマテラピーを導入

横浜市金沢区にある鳥居泌尿器科・内科では、2018年4月より、一般社団法人日本アロマセラピー学会認定施設となり、日本アロマテラピー学会理事長・認定医師である院長鳥居伸一郎氏の指示のもと、トリートメント(施術)ではなく、芳香や塗布をメインとしたメディカルアロマ外来を行っています。

 

鳥居泌尿器科・内科 メディカルアロマ外来

 

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