おまけのように出される薬の恐怖!この薬を飲むと逆に症状が悪化する

父の言葉

近代医学の父とされるヒポクラテスの言葉で
『人は自然から遠ざかるほど病気に近づく』
というのがあります。

その他にも、

病人の概念は存在しても病気の概念は存在しない。

浄化されていない身体は、栄養を摂れば摂るほど侵される。

心に起きることはすべて体に影響し、体に起きることもまた心に影響する。

理由もなしに疲労するのは病気を意味する。

食べ物について知らない人が、どうして人の病気について理解できようか。

火食は過食に通ず。

病人に食べさせると、病気を養う事になる。一方、食事を与えなければ、病気は早く治る。

病気は、人間が自らの力をもって自然に治すものであり、医者はこれを手助けするものである。

健全なる体を心掛ける者は完全なる排泄を心掛けねばならない。

食べ物で治せない病気は、医者でも治せない。

人間は誰でも体の中に百人の名医を持っている。

人間がありのままの自然体で自然の中で生活をすれば120歳まで生きられる。

満腹が原因の病気は空腹によって治る。

などなど、数々の名言を残したヒポクラテスですが、
現代のお医者さんたちも医学の道を志すと決めた時、
まず、これらの『ヒポクラテスの誓い』を学んだはずです。

それなのに、ほとんどのお医者さんが患者の『食』についてはなんの関心も持たず、
PCの中にあるデータばかりを照合して薬を処方するだけの、製薬会社の代理店のような仕事をしているように見受けられます。

なぜ、こんな風になってしまったのでしょうか?

 

おまけの薬

友人が腰痛や膝の痛みが続いていて、整形外科を受診したところ、
適度な筋トレと痛み止め(ロキソニン)を処方されました。

また、別の知り合いは、職場の人間関係や仕事のストレスからうつ病と診断されて、抗うつ薬や睡眠導入薬を処方されました。

どちらも根管治療ではなく症状を抑える薬ですが、どちらにもある薬がおまけで処方されていました。何だか分かりますか?

腰痛・膝痛の友人には、レバミピド。
うつ病の知人には、ファモチジン。

どちらも胃腸薬です。

レバミピドは、胃炎・胃潰瘍治療剤です。
胃の粘液の産生・分泌を促すことで、胃酸などから胃粘膜を守るはたらきがあります。

日本薬局方 レバミピド錠 添付文書情報より

ファモチジンは、ガスター〇〇という商品名で市販もされていますが、胃粘膜壁細胞のヒスタミンH2受容体を選択的に遮断し、胃酸分泌を抑えるお薬です。

ファモチジンについて更に詳しく見てみると、

主な副作用

白血球減少、便秘、Al-P上昇、痙攣、徐脈、頻脈、房室ブロック、肝機能異常、可逆性の錯乱状態うつ状態、めまい

起こる可能性のある重大な副作用

呼吸困難、再生不良性貧血、汎血球減少、無顆粒球症、溶血性貧血、全身倦怠感、脱力、皮下出血、粘膜下出血、発熱、中毒性表皮壊死融解症、Toxic Epidermal Necrolysis、TEN、皮膚粘膜眼症候群、Stevens-Johnson症候群、肝機能障害、黄疸、AST上昇、ALT上昇、横紋筋融解症、高カリウム血症、ミオグロビン尿、著明な血清逸脱酵素上昇、筋肉痛、QT延長、意識障害、全身痙攣、痙直性痙攣、間代性痙攣、ミオクローヌス性痙攣、間質性腎炎、急性腎障害、皮疹、腎機能検査値異常、BUN上昇、クレアチニン上昇、間質性肺炎、咳嗽、胸部X線異常、不全収縮、ショック、アナフィラキシー、全身潮紅、血管浮腫、顔面浮腫、咽頭浮腫、蕁麻疹、血小板減少

上記以外の副作用

乳汁漏出症、CK上昇、味覚異常、背部痛、過敏症、発疹、紅斑、好酸球増多、下痢、軟便、口渇、悪心、嘔吐、腹部膨満感、食欲不振、口内炎、血圧上昇、顔面潮紅、耳鳴、総ビリルビン上昇、LDH上昇、無気力感、頭痛、眠気、不眠、月経不順、女性化乳房

単純に考えると、抗うつ薬と同時に副作用でうつ症状を引き起こす作用のある薬を飲むような処方になっています。

ちなみに処方薬や市販薬の情報は、

MEDLEY や メディカルオンライン 、 PDR で誰でも簡単に調べることができます。

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別の角度から見てみると、『胃粘膜の産生や分泌』も『胃酸の分泌』も、本来からだが食べたものに合わせて自動で行ってくれている働きです。ある症状(友人たちの場合腰痛や膝痛、うつ症状)を抑える薬の副作用によって胃腸の働きを弱めてしまうため、今度はその胃腸の働きを何とかするために胃腸薬を飲み、さらに別の副作用を抑えるためにまた別の薬を追加で処方されるというのが延々と続くような感じです。おばあちゃんが飲んでいる薬の種類の多さに驚いたことはありませんか?

ワーファリンという血栓をできにくくするお薬がありますが、相互作用による注意のため青汁や納豆などの飲食物に制限があります。科学的根拠が解明されているものはまだほんの数パーセントという現代で、しかもそれらもいつ覆されるか分からないような状態で、そんなに複数種類の薬を飲んでいて、食事や飲み物との組み合わせは本当に大丈夫なんだろうか?と心配になりませんか?

 

メカニズム

今度は、私たちの胃腸のメカニズムをちょっとだけ詳しく見てみたいと思います。難しいのですが、こちらの短いサンプル動画で簡単にイメージをつかむことができます。

ポイントは『すべての感覚はつながっている』ということです。

食事というのは、実は実際に口に食べものを入れる前から始まっています。
「今日の晩御飯はお好み焼きだよ。」
なんて言われると、頭の中でお好み焼きをイメージしたりして、
何となく口がお好み焼きの口になったりして、お好み焼きを食べる準備が整い始めます。

いざ晩御飯の時間になると、次は視覚や嗅覚によって見た目を楽しみ、においを嗅ぐことでいよいよからだの準備は万端に。迷走神経によって胃の中では胃酸やペプシノゲンが分泌され始め、口の中は最初の消化液でもある唾液で潤ってきます。

ところで私たちの唾液は1日にどれぐらい分泌されるか知っていますか?

A.500ml        B.1L        C.1.5L        D.2L

 

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正解は、C.1.5Lです。
厳密には1〜1.5Lですが、結構な量ですよね。

唾液の99%は水分で、そのほとんどは消化器官の中で再吸収されています。そして、リゾチームというバクテリアを殺してくれる酵素や、中性脂肪を消化してくれる舌リパーゼ、炭水化物を分解してくれるアミラーゼなどの酵素が0.05%ほど含まれています。

人間の口の中は想像以上に汚くバクテリアまみれで、ゴミやその辺のうんこを食べているような野犬に噛まれるよりも、人間に噛まれる方が切り落とさなければならないほど腫れ上がるといわれています。

唾液をしっかり出してご飯を食べることで、胃に入る前に消化ができるので、胃腸の負担を軽くすることができるのです。さらに、1日3食食べるよりも1〜2食にした方が、からだも待ってました!とばかりに反応して唾液がたくさん出るので(1回あたりの量が多くなるので)、消化も早くなります。そして、よく噛みゆっくり食事を愉しむことで血糖値が急激に上がるのを防ぐことができ、満腹シグナルも食べ始めてから20分後ぐらいから出てくるのでダイエットにもつながります。

さあ、ふぅふぅハフハフしながらお好み焼きを一口パクリ。口の中で唾液と混じり合いながら歯で噛み砕かれて徐々に細かくなり食塊(ボーラス)になったらゴックン。喉から食道を通って次のステージの『胃』へ。飲み込むまでは私たちの意思ですが、喉を過ぎたあとはからだの生理機能によって先に進んでいきます。

からだはとても複雑なコンビネーションで自動的に働いてくれていて、軟口蓋が閉じることで食べたものが鼻に入るのを防ぎ、飲み込む時には約2秒間呼吸が止まって喉頭蓋がきちんと閉じることで食べたものが気管に入るのを防ぎ、食道の筋肉の働きによって上部食道括約筋が順番にタイミング良く開いて胃の方にボーラスを5秒かけて移動させ、胃の入り口の下部食道括約筋がタイミング良く開くことで胃にボーラスがポチャンと入ります。何となく体調が悪くて食べものが胃のあたりに引っかかっている感じがするような時には、これらの連動した機能が低下しているということになります。

からだの機能によって食べたものが正常に胃の中に入ると、G細胞が刺激されてガストリンという消化ホルモンが分泌され、胃の中のpHの変化に反応しながら壁細胞に胃酸を出すように司令を出します。胃の蠕動運動によってボーラスは胃酸と混じり合いながら粥状になり、糜粥(びじゅく)という呼び名に変わります。平均的には3〜4時間かかって胃の中が空っぽになります。

ちなみに、胃酸(塩酸)のpHってどのぐらいだか知っていますか?

正解は、0.8。あの硫酸と同じぐらいの超強酸性です。そんなものがからだの中にあるなんて驚きですよね。

そんな強酸性の胃酸があるのに、どうして胃は溶けてしまわないのでしょうか?ここもからだ本来の完璧な働きの連携によって、アルカリ性の胃粘液が分泌されて胃の内壁を覆うことで中和されている訳です。からだの仕組みって知れば知るほど本当にスゴイですよね。


食べたものによって胃の中のpHは酸性とアルカリ性を行き来します。消化のために一定の酸性状態である必要があるため、ガストリンが信号を送って胃酸の分泌を促進します。3〜4時間かけて消化されたものが少しずつ十二指腸に送られ(幽門が開くのは1分間に3回。1回当たり3mlずつ)、最終的に胃が空っぽになると十二指腸壁のS細胞からセクレチン消化ホルモンが分泌されます。セクレチンはガストリンと胃酸の分泌を抑制します。さらにコレシストキニン消化ホルモンが膵液(消化酵素)の分泌を促進して次の消化ステージに進んでいきます。

 

結論

かなり難しいのですが、何度も繰り返し学んで自分なりに理解したことを確認するために書いてみました。

細かく見ていくともっともっと神秘的でスゴイ働きがあるのですが、要するに、からだは物凄く自然に連携しながら複雑な働きをしているということが分かりました。

胃の病気で胃の一部を摘出するという治療法がありますが、胃は単純な1つの袋状のものではなく大きく3つの部位に分かれています。それぞれの部位がそれぞれの仕事をしている訳ですから、一部を切除するだけで胃の他の部位だけでなく、十二指腸や膵臓の働きに負担をかけてしまうことが分かります。

胃の調子が悪い、
胃酸が出過ぎている、
胃がムカムカする、

といって病院へいくと、オメプラゾール、オメプラゾン、パリエット、ネキシウムなどという商品名のプロトンポンプ阻害薬が処方されます。
(処方薬事典:プロトンポンプ阻害薬の解説

プロトンポンプというのは、先ほどお話ししたような流れで分泌された胃酸を細胞から胃の中に汲み出す働きのあるタンパク質です。プロトンポンプ阻害薬を飲むとその働きを阻害するので、胃酸が分泌されなくなります。

胃酸が出すぎて困っているのだから、胃酸を抑制すれば良いという対症療法的な考え方ですが、これまで見てきたようにからだの仕組みはそんなに単純なものではありません。

「あれ、胃酸が足りない。おかしいおかしい。」とさらにガストリンが分泌されて胃酸を出そうとしますから、薬(プロトンポンプ阻害薬)が切れた時にはさらに胃酸が大量に胃の中に放出されることになります。つまり、胃酸過多による胃痛がひどくなったり、胃酸が逆流しやすくなったりするということです。

一つの働きを阻害することで、からだの仕組みの連携が崩れ、アンバランスになって、例えばペプシノゲンが規定量よりも少ない胃酸でペプシンに変形してしまったり、細胞内で消化活動を始めてしまうことで胃に穴があいてしまったりします。

その他にも、薬の副作用(下痢や軟便、味覚障害、アレルギーなど胃腸の働きの低下に伴う症状、10%の確率で逆流性食道炎)もあるため、一度薬によってからだの機能をいじるだけでからだ本来の完璧なメカニズムがおかしくなってしまうので本当に恐ろしいことだと思いました。
対症療法の恐ろしさと、医療への盲目的な信頼感が私たちのからだ本来の機能を弱らせていることを改めて実感しました。

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