調味料の選び方

調味料には、塩、みそ、しょうゆなど、極陽性のものと、酢、砂糖、香辛料のように極陰性のものがあります。日本の調味料には、米や大豆を原料とする醸造食品が多いのが特徴です。発酵の過程でうまみが熟成され、からだにいい有効成分もたくさん生み出されますが、これは、時間と微生物が共同でつくりあげた、自然のなせるわざです。

 

陽性の調味料は、野菜や大豆製品、きのこのような陰性な食材を陽性化し、料理を中庸にするために加えられます。逆に陰性の調味料は、陽性の動物性食品を調理する際に多く用いられ、殺菌、防腐、分解を促す意味で『悪い陽』を抜く役割があります。

 

陰陽や食べ合わせを考えずに味付けや素材を組み合わせることは、からだのバランスを崩すことになります。同じ理屈で、何となく減塩を意識して減塩食を継続することにも注意が必要です。『うまいまずいも塩加減』と言われるように、料理のおいしさは塩加減で決まります。最適な塩加減というのは、個々の体質、食習慣によって異なります。食べる人が『美味しい』と感じる味がその人の生理的適量であり、適量が分かるからだを維持するためにも、日々の食事への意識が大切となります。

 

ところで、今日ではほとんどの調味料が不自然な形の”醸造”もしくは化学的に合成されたものになっています。短期間で製造するために熟成が足りず、長く保存するために防腐剤や殺菌剤などの添加物入りのものが広く安く売られています。それらの『偽和物の調味料』は、お腹の善玉菌を殺し、腸内環境をメチャクチャにしてしまいます。これでは、発酵食品の意味がまったくありません。

 

日本の調味料には、料理の味をととのえるだけでなく腸の機能を正常にするという大切な役割がありました。日々の健康にダイレクトに影響するものなので、厳選された材料で作られた無添加のもの、天然醸造の調味料をそろえるところから始めてみてください。

 

たしかに値段は高めですが、使う量はほんのわずかです。少しのぜいたくで、いつもの同じ料理がグンとおいしくなりますし、健康にも良いとなれば、まさに一石二鳥ではないでしょうか。

 

 

みそ

みその語源はさまざまです。3つの基本、三礎と書いて、味、身、美という当て字があるように、みそは食べておいしく、からだによく、美容にもピッタリの食べものです。

 

おもな原料は大豆ですが、用いるこうじによって、豆みそ、麦みそ、米みそに分かれます。いちばん甘いのは米こうじの多い白みそで、次に普通の米みそ、麦みそ、豆みその順。陰陽でいうと甘いみそほど陰性になります。

 

みそには質のいいタンパク質が、消化しやすい形でたくさん入っています。ビタミン・ミネラルや不飽和脂肪酸も豊富なので、いわば『良質の血液材料セット』です。

 

みその有効菌や繊維質が腸内の環境をととのえてくれますので、造血のための環境づくりもバッチリです。また、ガンなどの腫瘍の発生を抑えたり酸化を防ぐ働きにもすぐれています。

 

みそ本来の持ち味や有効成分を期待するなら、最低でも1年以上熟成させた本醸造を求めましょう。材料も遺伝子組み換えの心配がない国内産大豆と自然塩を原料としたものに限ります。

 

ちなみに、安いみそには輸入大豆や脱脂大豆(カス)が用いられています。化学塩、漂白剤、防腐剤などの薬品もいっぱいです。

 

しょうゆ

丸大豆と米と小麦に、自然塩とこうじ菌を加えて熟成させたのが本来のしょうゆです。天然のアミノ酸がどんな料理の味をも引き立て、いまやしょうゆは、世界の万能調味料として愛されています。
 
 
すばらしいのは味だけではありません。じつはしょうゆには抗酸化物質がたくさん含まれていて、体内の酸化物質を代謝してくれるのです。このほかにも、しょうゆの酵素や塩分はいちょうの調子をととのえて新陳代謝をうながし、気分をリフレッシュ。血液循環や造血機能も正常にもどります
 
 
ただし、こういった作用はみそと同様、天然醸造のしょうゆに限られます。市販の安いしょうゆは脱脂加工大豆を用いているものが多く、しかも味をごまかすために砂糖や合成アルコール、化学調味料などが添加されているのです。
 

『しょうゆ風化学調味料』スーパーなどで売られている値段の安い醤油は、短期間で量産するための技術を使っていて、本当にちゃんとじっくり発酵させて作られたものではありません。 コストを下げるために、大豆を丸ごと使わず脱脂加工大豆と呼ばれる大豆の搾りカスが使われています。脱脂加工大豆とは、安価で仕入れた輸入大豆を搾ってサラダ油などに使われる大豆油を取り、さらにその余った搾りカスです。 それに、1年かけて発酵させるところを1〜3ヶ月で済むように発酵促進剤という化学物質が添加されます。こうやってできたベースの液体にさらにいろんなものを添加して醤油っぽい味と色と匂いをつけていきますまず、 じっくり発酵させていない液体には旨みがありませんから、旨み成分としてグルタミン酸ナトリウムを添加されます。原材料表示には「調味料(アミノ酸など)」と表記されるアレです。 さらに甘みと酸味をつけるために人工甘味料、酸味料が添加されます。色も薄いので、着色料としてカラメル色素も添加されます。また、ちゃんと発酵させた醤油だと防腐効果があって簡単には傷まないのですが、ちゃんと発酵させていないので傷まないようにしなければならず、防腐剤や酸化防止剤が添加されます。そして、最後の仕上げに”本物の”醤油を少しだけ添加して風味も本物っぽくなってできあがりです。

 

 
 
 
 
 

自然塩

海は、いのちのもと。海にはいのちを形成するバランス、陰陽の調和がとれた形で、さまざまなミネラルが溶け込んでいます。赤ちゃんが十月十日を過ごす羊水も、古代の海水とほぼ同じミネラルバランスをもっています。
 
 
塩は、その海のエッセンスを凝縮したものです。天然のにがり成分をはじめ、数十種とも約百種ともいわれる微量ミネラルを含み、私たちの生命活動を調和させています。減塩減塩と、塩がまるで悪者のように扱われていますが、海からとれた自然の塩を適量とることはとても大切なことなのです。
 
 
これが99%以上塩化ナトリウムという化学精製塩になってしまうと、話は別です。
 
 
貝をそれぞれ自然塩入り、精製塩入りの水に入れて、どうなるかを実験してみると、自然塩入りの水の方の貝はピューピュー勢いよく水を出して呼吸を始めますが、化学精製塩のほうに入れた貝は、時間がたっても少ししか口をあけず静かなままです。
 
 
いかに微量ミネラルが、生き物の生存に不可欠かが分かります。同じ塩でも、化学精製塩はいのちの生理を狂わせる塩、自然塩はいのちを躍動させる塩なのです。
 
 
また、塩が本物だと、食べものの持ち味がより引き立ちます。ピリッと塩辛いだけの精製化学塩と違い、自然塩は甘みがあってまろやかな味わいです。
 
 
 

食用油

揚げる、炒める、焼く。油は、高熱という陽性のパワーで食べものをおいしく変身させる、非常に優れた調味料です。
 
 
脂肪分の多い植物の実からとれますが、中でもごまや菜種の油は酸化しにくく、食用に最適。とくに未精製の油には細胞や毛細血管を強くしたり、血液の掃除をしてくれるレシチンをつくりだす成分が含まれています。細胞や肌や髪にうるおいをもたらす働きもありますので、適度な量をとりましょう。
 
 
ほかの調味料同様、油も自然に近い形でしぼられたものをおすすめします。いわゆるサラダ油や天ぷら油には粗悪な材料が使われているだけでなく、薬品抽出や化学処理がほどこされていますし、高温処理で自然の成分や香りが変質してしまっています。
 
 
圧搾搾りのごま油などはかなり高価ですが、何度でも使え、劣化も少なく最後までおいしく利用できますので無駄がありません。
 
 
 
 
 
 

酢・みりん

日本には、酢のものという料理があるように、酢は魚介類の殺菌や消化を助ける作用にすぐれています。
 
 
本来の酢は、米が原料の玄米黒酢や純米酢ですが、ほかにも果実酢、梅酢など、酸味をもつ調味料はいろいろあります。いずれも油を使った料理や動物性食品の消化剤になりますので、用途に応じて使い分けてみましょう。
 
 
ちなみに大部分の酢が陰性なのに対し、梅酢は陽性に働きます。
 
 
なお、酢酸を水で薄め、化学調味料や甘味料などを添加した合成酢には要注意。骨まで溶かしてしまう極陰の作用があります。
 
 
みりんは自然の甘みとまろやかさを料理に加える調味料で、酒と同様、米とこうじが主原料です。市販品は合成品のみりんもどきがほとんどですから、成分表示を確かめ、本みりんを求めてください。ほんのわずかな量で、驚くほどコクとうまみが出ます。料理に甘さがほしい人は、砂糖のかわりに本みりんを利用しましょう。
 
 
 

漬物

発酵食品で忘れてはならないのがぬか漬けです。
 
ぬかに含まれるビタミン・ミネラルやその他の有効成分が、微生物の発酵作用でさらにパワーアップ。一緒に漬けた野菜にエッセンスがしみ込み、腸内環境をととのえてくれます。
 
 
とくに白米食の人は、率先してぬか漬けを食べること。玄米食に近い栄養バランスを保つことができます。
 
 
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