医学の主流となっている現代西洋医学とメディアによる情報操作は、科学への依存度を高め、精神性や霊性を排除して物質としての身体にのみ研究努力を注いでいます。医学は世界で日々進歩しているにもかかわらず、どんなに高名な医大でも教わることは国がいつ決めたのかも分からないようなカリキュラムに基づく西洋医学という一方向による偏った知識が中心となっています。
西洋医学によって症状から部分的な診断名を下して、その症状を治すのではなく抑える薬を処方する医療機関は表向きは営利目的ではありませんが、米国では製薬会社から医師への2,000円ほどの飲食の提供で、その医師の処方が変わるという研究もあります。かかりつけ医がいつもあなたに処方している薬は、効果と安全性の面であなたにとって本当に最良なのでしょうか。著名な医師が薬や病気についてメディアで語る内容は本当に信じられるのでしょうか。医師による薬の処方やメディアでの発信を監視するには、医師と製薬会社との利害関係の『透明化』が重要です。
医師が、金銭の支払いを受けた製薬会社の薬の処方を優遇することはないかーー。この疑問を解消するためには、情報の透明化を進めるしかありません。
製薬会社の売り上げの約9割は、医師の処方箋が必要な「医療用医薬品」です。製薬会社が利益を増やすには、医師に処方箋を書いてもらう必要があります。薬を「消費」するのは患者でも、製薬会社にとっての「顧客」は医師という関係性があります。
実際、製薬会社は医師個人に様々な形で金銭を支払っています。
薬や疾患の解説をする「講師謝金」、製薬企業のパンフレットなどに載せる「原稿料」、新薬開発のアドバイスなどをする「コンサルタント料」がそれにあたります。 厚生労働省は、新薬を審査する医師に対して、製薬会社からの支払いが公正な審査に影響を与えることを避けるため、以下の規定を設けています。
①過去3年のうち審議に関係する製薬会社1社からの受取額が年間500万円を超える年度がある場合は審議に参加できない
②審議に関係する製薬会社1社からの受取額が、年間50万円を超える年度がある場合は議決に参加できない医師が製薬会社からいくらの金銭を受領したのかをすでにデータベースとして公開している国があります。米国とドイツです。
米国では、製薬会社から医師への10ドル以上の支払いは、医師の個人名とともに情報公開することが2013年から法律で義務付けられました。すでに公的機関やジャーナリズム組織が、製薬会社から医師への支払い情報のデータベースを公開しています。ドイツでもジャーナリズム組織がデータベースを公開しています。
日本ではこうしたデータベースがありませんでした。このため、特定の医師が受け取った金銭を製薬会社間で比べることができません。10社から合計で1000万円受け取るのと、1社から1000万円受け取るのとでは利害関係の強さがまるで違うのに、比較ができないのです。
日本学術会議は2014年3月、製薬会社でつくる日本製薬工業協会(製薬協)に対して、データベースを作成するよう提言しました。医師が薬を処方する権限を持ち、人の命と健康を左右する公人である以上、当然の提言だと思います。
しかし製薬協はデータベースを作成していません。厚生労働省など公的機関もデータベースを持っていません。
私たちは自らの手でデータベースをつくることにしました。
製薬各社のホームページには、データを取り込みにくくする障壁があり、作業は困難を極めました。作成には3000時間超を要しました。
このデータベースは、医療現場の透明化を大きく前進させることでしょう。
上に述べた公開の趣旨と目的を踏まえ、このデータベースが適切に利用されることを希望します。
Tokyo Investigative Newsroom Tansa 医療ガバナンス研究所
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