Vol.14 疑似領域

つまり、人智を超えた高次の闇側の存在は、波長の合う人間に闇側に傾くような想念を自然と沸き起こさせて、でも実際にこの暗澹たる世界の闇を押し広げたのは人間の力だったということだ。一部の人間が魑魅魍魎と化した、つまり人間にはそのような素質があるということ。この気付きは深く魂に刻み込まなければならない。立場が違えば自分も同じことをしていたのかもしれない。すべてはつながっており、地球に生きる我々は地球の一部であり、宇宙の一部であり、他は自分の写し鏡でもある。そう考えると、すべては互いの分身なのだ。であれば許す、許さないだけでなく、力を合わせて助け合うこともできるはずだし、慈愛や善意や思いやりを取り戻すために智慧を分かち合うこともできるはず。狭小な世界で争い、競い合うように仕向けられ、恐怖や不安や怒りや憎しみが闇を増幅させているのだという認識を共有し、団結して誰もが平和に暮らせる世界を築くこともできるはずだ。そうでない限り異質の存在を超越することはできないのだ。

ここにいる誰もが、人間の持ち合わせている一部の側面について、改めて認識を深めると同時に、人智を超えた闇の存在への恐れを感じていた。

「いや、すべてを許し、受け入れてはダメだ。この広い大いなる宇宙にはすべてのつながりや宇宙の真理、あらゆる他の存在を無視して、自分たちの種族の繁栄や存続のために他の種族を利用し、他の生命を奪うことに何も感じない存在がいる。地球に降り立った彼らネガティブレプティリアン(ニビル人)は大人では体長が四メートルほどあり、肉体的にも精神的にも強く完璧なテレパシーで疎通し、素早く知的な存在で時間の認識は地球人よりもずっと速い。彼らはにんげんを 食べ、奴隷にし、あらゆる方法で虐待し拷問する。また、彼らは性的にもエネルギー的にも子どもを好む。死の恐怖に怯える子どもから放出されるエネルギーは彼らにとっての珍味だ。マインドコントロールや魂の剥ぎ取りなどの高度なテクノロジーの一つであるシェイプシフトを利用して地球人に紛れてはみたものの、彼らは時間的感覚の違いから急速に老化し始めてしまうため、ニビル人の実体そのものが直接地表に長く存在することはできない。それに、ニビル人が直接地球人に干渉したり支配することは『プライム・ディレクティブ(大宇宙法)』に違反することにもなってしまう。そこで地球人を拉致してニビル人と地球人のハイブリットを生み出す実験を始めた。彼らはハイブリットであれば『プライム・ディレクティブ(大宇宙法)』に違反することなく地球を支配することができるという抜け穴を見つけたんだよ。やがて地球人よりもずっと賢く、はるかにIQの高いハイブリットのアヌンナキを生み出し、地表に送り込んだ。アヌンナキも体長が最大で四メートル近くの身長の爬虫類型種族で、ほとんどの時間をニビルの周波数に調整された地下の停滞室に潜んでさまざまな研究や高度なテクノロジーを開発していた。アヌンナキのアヌはレプティリアンとの間にユー(エンリル)、シリウス星人との間にイア(エンキ)をもうけ、二人に地球の支配を任せた。イアは慈愛や善意、思いやりに満ちた人間思いの存在だったが、ユーはレプティリアンの気質そのものだった。そして二人は対立し、ユーが勝利した。ユーは人間のエリートを制御するために、小児性愛や血の生贄を象徴とする悪魔崇拝を創設して利用した。政治、ビジネス、金融、エネルギー産業などあらゆる産業のエリートたちがより多くの金や権力のためにニビル人のテクノロジーを欲して集まり、進んで小児性愛や血の儀式を行うこのカルトに属している。彼らのテクノロジーは精神に潜在意識レベルで影響を及ぼす低エネルギー兵器によってターゲットを何らかの方向に導き、歪めることもできる。そうして多くの人々にとって地球は暗黒の世界となったんだよ。だから、この世界の狂気に気付き、目覚めた僕たちは、人々を不当に扱う者たちの行いをいつまでもただただ受け入れていてはいけない。すべてはつながり、分かち合い、助け合う大家族の一員として、狂った行いには識別力を働かせて固く拒絶する姿勢を見せなければならないこともあるんだよ。」

と、琉雅が静かに説明した。

「恐れることはありません。これまでは人類が自由意志によって闇側と奴隷契約をした場合には光側は一切介入することはできませんでした。なぜなら自由意志が尊重されているからです。しかし、こうしたニビル人の問題や生命への行き過ぎた行いは宇宙全体の汚染につながり到底見過ごすことなどできません。銀河連合は銀河間連合と共にプライム・ディレクティブに新たな条項を追加しました。その変更内容によって、ステージ1や2の個人がステージ3以上の存在の影響によって侵略的に操作されたものと判断される場合には光側の介入が認められるようになりました。これによって銀河連合は太陽系からユーたちネガティブな生命体を排除しました。これは何千年もの干渉から地球が解放されたとても大きな変容ですが、ずっと奥深くの見えないところで行われている状況のため、何も知らずに闇側の手下として蠢いている中枢や末端の者たちまでが変容するのにはもう少しだけ時間が必要です。急激な変化はパニックを引き起こし、意図しない不幸を招きかねないからです。とはいえ、銀河連合や高次の光側の存在が休むことなく、大いなる大家族の一員である地球人に慈愛や善意や思いやりの想念を送り、働き続けていることは事実です。さらに、人間を母に持つイアも自分たちの高度なテクノロジーを駆使して汚染された地球人のDNAを修復するシステムを開発しています。あなた方は恐怖や不安などの感情から心を解き放ち、オープンマインドで心が軽やかな喜びに向かう赴きを感じ取ること。それは生まれ持った才能や自分の役目を示す道標となります。多くの高次の光側の存在たちが自身の精神性を高め、宇宙全体をより豊かなものとするために地球と地球人の次の次元への移行を手伝いに訪れています。次々地球に降り立つ彼らスターシードの増加と成長と共に、幼少期から無意味なデータの詰め込みや、親や周りへの余計な忖度を身につけさせるような教育には馴染まない子どもたちが増え、変革が起こります。危機感や倫理観が自然に養われる環境の中で、もっと広く大いなる宇宙の大家族や魂、慈愛や善意、精神性や叡智など、生命にとって重要なことを当たり前のように学び、身につけていくようになるのです。真の自由を見守られながら成長できれば、多くの魂がより早く目覚めて地球的集合意識や大いなるつながりを少しずつ光側に押し上げていくはずです。」

右京が澄んだ瞳で一人一人の表情を見渡しながら話し始めた。

「細かなディテールに囚われてそれらを追いかけて気忙しくなってはいけません。細部はどうあれ現代の虚構は大勢が軽んじられ、多大な犠牲の上に成り立っていたのです。もっと広く大きな宇宙全体のつながりや真理に目を向け、意識を集中してください。日々ほんの少しずつでも一時的にでも精神を向上させて、高次元から自分や周りや地球全体を俯瞰してみるのです。生命、生涯、居心地、居場所、意図、意義、意味、意識、感情、精神、記憶、夢、経験、すべてがすべてにつながっているのです。未知の世界への恐怖や不安は彼らとて同じこと。しかしこれだけのことをしてくる裏にはこれまで築いてきた富や権力を失うという先の見えない強大な畏れがあるのです。今は瀬戸際でもあります。大勢が気付き目覚めてすべてがあっという間に覆るタイムラインが存在しています。しかし、大勢が気付いて目覚めなければまだまだ時間がかかり得るというタイムラインも存在します。焦って狭小になり、負の感情に支配されてはいけない。たとえ今すぐではなくとも、今世今代でなくとも、我々のつながりが、別の姿形となった我々が安寧幸福の世に降り立つために、いま我々ができることをして道を作っていかなければなりません。」

晴人たちは右京の『瀬戸際』という言葉に身震いした。グレートリセットには目に見える闇側のそれとは別に、覆い隠され、見せられていない光側のグレートリセットもある。歪ながらもかろうじて形を保っているすり替えられた現実世界の人々には見えていないところで高次の光側の存在が地球人を、大いなる大家族の一員として迎え入れるために力を尽くしてくれている。人々が目覚め、彼らに波長を合わせて慈愛や善意に基づく平和を強く望み、一人一人がそうした世界を築くことのできる創造主であることを思い出すのを待っている。誰もが時の流れの一端を担う使者であり、だからこそ金や権力に偏りなく誰にも平等に同じ時間が与えられている。これまで人々は自分たちのことをあまりにも放任し放棄し続けてきた。一人一人は非力で無価値だと思い込まされ、どこかの権力者たちが為すままに従い、人々を盲信させる周到なシナリオの中には人々が良い時期と感じる経験も用意されていたからこそ、彼らの計画通り人々は盲信した。時には卑劣極まりない暴挙によっていたたまれない苦しみに貶められたこともあったが、何にせよ偏執狂者たちの長期的な計画に地球人はまんまとのせられたのだ。しかし、時を経て闇の存在や人間の弱さ、強さに気付き、叡智の糧として成長した人々は、光側のグレートリセットによって、魂が持ち合わせてきた感情や思考や幸福や平安、争わない暮らしの選択を取り戻すところまできたのだ。

サライは様子を見てみましょうと言って、灰色の世界の現状を空に投影した。そこにはオーガニック、有機、自然農などという文言で都会風にセンス良く飾り立てられたマーケットが並び、カムイたちの野菜は偽の光ルシファーによって灰色の世界に調和した鮮やかさを放っており、人々は市場価格の倍以上の値の野菜を、ただ周りの勢いに負けないように買い求めていた。人々はこれらの善し悪しを識別しているのではなく、周囲の行動に反応して流されているだけで、相変わらず目は虚なまま、お金だけでなく心も体もますます貧しくなっている。

「彼らの売っている野菜は人々を思う慈愛の心が込められていない。死んだ土壌で育てられた野菜には人々の心身を癒す力はほとんど残っていない。野菜だって干からびた土壌から栄養を得て生きるのに精一杯なのよ。さてと、あなたたちはまたあの灰色の世界に行商に行かなきゃね。仁と私も一緒に行きましょう。人々に偽物と本物の違いを知らせる良い機会だわ。」

翌日、みんなで真心を込めて手入れし、収穫した新鮮な野菜を携えて、子どもたちはサライや仁とともに、カムイのマーケットを訪れた。

「やあ、サライ。元気そうだね。」

「カムイ、あなたも相変わらずのようね。」

かつてのホームレスたちが、身なりを整えられてマーケットで働いていた。晴人たちの野菜を食べてみなぎっていたはずの正気は、マーケットの野菜をいかにたくさん人々に買わせるかという意識に塗り替えられ、その目は血走っていた。

「お互い様だね。低レベルの人類はいつまでも進化しないままだ。人々は飼い慣らせない技術を、その仕組みが解明されていなくても何とも思わず、お金や権力に通じるものであれば何であれ言われるままにただ扱うだけだから、流用もできないし独自の悪事に発展させることもない。干渉だって?いやいや、彼らが勝手に自由意志で選んでいるんだよ。ちょうど良く転がり込んできた商売に金脈を見出して乗っかっている。それに巧みな話術は商売の基本だ。なぜなら、この世界ではお金がなければ生きていけないし、生きるためには頭を使って稼がなきゃならない。世界はいつまでも変わらない。この世界ではそうやって少しでも多くの富を得ることが幸福に通じる唯一の道だし、それに、この野菜だって、君たちのものよりもずっと多く売れている。彼らは自分たちの意志で買い求めているんだよ。そして満足している。高価な良いものを他よりも多く手に入れられたことを喜んでいる。彼らにとって真実なんて重要じゃないんだ。思い込んだ情報に基づいて行動するだけ。この世界では真実かどうかを追求するより、どれだけ多くの人が真実味を感じているか、自分の信じた情報をいかに正当化するかが重要なんだよ。僕はただ、彼らの求める価値を提供して喜びを齎しているだけじゃないか。」

子どもたちはカムイの巧みな話術にはまり込み、納得しかけていた。なかなか真実を見ようとせず、コントロールされたままになっている人をどうやって救えばいいのだろう?

トライブから、子どもたち一人一人の中に右京の想念が送り込まれてきた。

「地球的集合意識、あるいは宇宙的集合意識によって得られる洞察力や直感や記憶はすべてつながっています。地球的集合意識はまだ稚拙で次元が低いので、そこまで高度な宇宙的集合意識による閃きや経験、智慧に接続することはできません。しかし、地球を次の次元に導くための多くの高次の存在によって、その人の受け取る準備の度合いによりますが、人によっては系のようなものがするすると繋がっていく感覚で、記憶が結びついていき、次から次へと真実が目の前に明るめられるのを感じ取り始めています。
情報は波のように絶え間なく押し寄せては去っていきます。あなた方は自分の内なる精神と感情が一致している、輝く結晶質の宝石のような核の部分には決して何者も、どんな情報も入り込ませないように硬いシールドで覆いながら、その周りにあるクッションのような役割をする肉体や臓器やオーラのようなものは柔軟でいてください。あなた方の中にある煌めく光、その輝きであらゆるものを跳ね返すその宝石はどんな色や形をしていますか?その美しい姿形を想像してみてください。そして、あなた方は柔軟に、そして慎重に情報を精査し、あなたの生命がここに降り立った意図を果たすために必要なものだけを大切に重ね合わせていくのです。そうした叡智の獲得によって、意図の達成のためにより賢明にあなた方の内面の宝石を光り輝かせていくのです。自分は何者なのか、なぜここに存在しているのか、自分の内面に心を寄せ、目を向け、耳を傾けて、受け入れ難いものは決して受け入れない覚悟をする。そのためには自分の精神や感情がどういったものに反応し、何を嫌悪するのかを深く探求するのです。」

「これまで教育や宗教的思想によって、道ができあがっていました。国や民族の血や宗教によって互いに敵対視するように仕向けられてきました。日本人の遺伝子、などというのも逆の極論に誘導するものです。しかし、日本人の遺伝子というよりもこの世界線に降り立った、いわゆる今サイクルの人類という意味では、日本が位置する地が発祥となっていて、闇側に大きく傾き過ぎたために幾度となく洗い流され、生き延びた人類が方々に散らばったという経緯があります。日本人というよりも今この地球に降り立った地球人類の遺伝子によって、地球的集合意識の中ですべてはつながっているのです。古いシステムやしきたりや慣習などの鎖にいつまでもしがみついている奴隷を解放することは誰にもできないのです。いつまでも犠牲者意識や被害者面をして、誰かが悪者を倒すのを待っているのでは、学ぶことも叡智を獲得して成長することもできません。そうした者は高次元に移行しても、どこか余所余所しく感じられて居場所がないまま、相応しい居場所を求めて別の次元を彷徨うのか、あるいは大いなる源に戻って多元宇宙の意識の中に溶け込むかを自ら選ぶことになるでしょう。」

「私たちが自らを取り戻し、それぞれの核の部分を強固にして、それぞれの意図に寄り添っていると、必要な獲得すべき叡智を手繰り寄せ、それは私たちの自己肯定感とともに成長し、そうしてようやく真の大人になるのです。そして宇宙の真理に気づき、この宇宙に存在する多様な生命、多くの種族、さまざまな種を受け入れて共存共栄する、この大いなる宇宙本来の在り方を思い出すのです。この広い宇宙には私たちによく似た容姿の存在もいれば、姿形がまったく違う生命体もいて、とてつもない生命がそれぞれの居心地良い惑星で共に暮らしているのです。高貴でパワフルな精神性や安寧幸福を望むのか、諍いや奪い合いを極め、ろくでなしのように振る舞うと決めるのか、それぞれ自身の核心をよく究明してください。」

「私たちにできることはそうやって地球的集合意識を高めて道を示すことです。その道を選ぶか選ばないかは、それぞれが決めること。受け取る準備ができていなかったり、あるいは盲目であることを望んでいるのかもしれないし、あなた方が眩い光となることによって目を開けさせることができることもあるかもしれない。いずれにせよ、あなた方も他の人々も自由意志が尊重されており、それぞれの意図によって選択するしかないのです。」

「もしも闇の感情や膨大な情報に呑み込まれそうになったなら、一切を締め出してください。ドアを閉めて瞑想し、自分自身を感じ、自分の意図のために何を知る必要があるのかに意識を集中してください。そうすればあなたに今必要な真の智慧が明らかになるでしょう。恐怖や不安、行き過ぎた強欲や好奇心によって動かされるものは必要ではありません。もっとずっと深淵なところにあなた自身の真理があるのです。心を鎮めてそれらが明るめられるまで意識を集中してください。」

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