食事の摂り方・考え方1

からだのメカニズム

あなたは1度でも自分の意思で心臓を動かしたことがありますか?自分で意識して胃酸を出したり、膵臓からインスリンを分泌したり、血液を腎臓で濾過しておしっこを作ったり、食べたものを消化して栄養を吸収したり、不要なものを便として排泄したり、古い角質を日々垢にして新しい皮膚を作ったり・・・そういうことを自分で意識してやっていますか?

私たちのからだは、勝手に熱を出しては冷まし、おしっこやうんこを出したり、勝手に涙やよだれや胃酸を出したり、勝手に呼吸して、勝手に心臓を動かして、勝手に循環し、勝手にリンパも動かしています。つまり、私たちのからだはとても精密なメカニズムによって生かされており、どうすれば生き延びられるのかを知っているのです。

多くの人はお医者さんじゃないとからだを治せないと思っていますが、実は最高のお医者さんさえも私たちのからだのメカニズムに組み込まれているのです。

我が家も時と場合によってはお医者さんの診察を受けに病院に行きますが、抗生物質などの薬を処方されて、必ずといっていいほど「栄養のあるものを摂ってゆっくり休んでくださいね。」と言われます。

が、処方薬は飲まず、基本的に何も食べないか家で搾った野菜フルーツジュースまたは玄米スープを飲んであとはひたすら寝ます。胃腸を休ませ、脳を休ませ、熱が出ている時にはもっと熱が出るようにからだを温め、咳が出る時はもっと出るようにハーブで作った咳促進薬を塗ったり貼ったり、からだの反応を応援するような働きかけをします。

からだが出そうとしているものはからだには不要な毒なので、それを無理に止めるような薬を飲むことは、その不要な毒をからだに留めておくことになります。一生懸命体温を上げて菌と闘う白血球を活性化しようとしているのに、熱を下げる薬を飲んでしまったらその病原菌は長くからだに留まることになります。

西洋医学のお医者さんが病気を治すために取るアプローチは、手術と製薬会社のお薬を処方することです。予防医学という言葉もだいぶ耳になじんできましたが、病気にならないからだ作りについて教えてくれるお医者さんはほとんどいません。私たちの病気をお金にするビジネスなので、私たちが病気にならなくなったり、あまり薬に頼らずに自然のハーブや食事によって私たち自身が自分のからだを治せるようになってしまうと困ってしまうのです。

一方、東洋医学では、病気はある日突然空から降ってくるものではなく、日々の食生活や環境などによって表れる症状であり、健康な生と死の間にあるものと考えます。つまり病気という概念自体が違っていて、病気=症状はメカニズムの不調を私たちに伝えようとしているからだのサインだと捉えています。

誤った対処をすると『死』に近づいていくと考えて、からだのささいな変化や不調などの症状にいち早く気づき、私たち自身が日頃からできるケアやアプローチでからだを調えていくことができれば、健康な『生』を維持することができるのです。

からだが出したいと思っている痰や膿を咳止めで止めようとしたり、自分のからだに合わないものや良くないものをうっかり食べてしまってからだが下痢で出そうとしているのに下痢止めを飲んだりすると、良くないものをどんどんからだに溜め込んでしまうことになります。そして、溜まった悪い菌や毒素はどんどん増殖していくのです。そのような誤ったアプローチを繰り返すことによって病気はさらに進行していきます。

これまでお伝えしてきたアプローチを実践していると、からだが本来もっているさまざまな高性能メカニズムが正常に機能するようになり、何が必要でどんなものを摂れば良いのか、自分の心やからだの声が聴こえるようになってきます。そうなれば、たまにハメを外したとしてもすぐにからだを調えてバランスを取り戻すことができるようになります。そのためにも、日頃からからだ本来のメカニズムがスムーズに働き続けられるような生活をすることが大切であり、逆に働きを阻害するようなものを摂ってはいけません。何か一つのものを食べれば良いとか、一つのことをやれば良いというような短絡的なものではないのです。もちろん、東洋医学などのあらゆる伝統医学だけが良いわけでもありません。どちらかだけが正しいのではありません。

幅広い知識を身につけることで、時には離れたところから、また時にはズームインして、その時々のからだの状態に応じてさまざまなアプローチが選択できるようになります。そして、世間に出回っている情報操作された平均のデータや、赤の他人が決めた常識や価値観にとらわれることなく、私たち自身がトータルでバランスを調えて、病気になりにくいからだ作りをしていくことができるようになるのです。

 

私たちは菌に生かされている。

これらの生命維持活動にかかせないのが菌です。

私たちのからだの中にはどのぐらいの菌が棲んでいるか知っていますか?

その数はおよそ100兆から~1000兆個で、種類は約1,000種類、重さにして約1キログラムから2キログラムと言われています。私たち人間のからだは約37兆個の細胞でできているので、からだの中には自分の細胞よりもはるかに多い菌がいることになります。ちなみに現在の世界の人口が65億人なので、その5000倍です。そのさらに数倍の菌が私たちのからだの中にいて、その9割が腸内に棲みついています。

腸には大腸と小腸がありますが、それぞれの働きはまったく違います。簡単にいえば、小腸は食べたものを消化吸収する臓器であり、大腸は栄養を吸収したあとの残りカスから大便を形成する臓器です。

大腸に棲む細菌を「腸内細菌」といいます。通常ウイルスなどの異物は免疫システムにより体内から排除されるのですが、免疫寛容という仕組みによって排除されないものがあります。この仕組みによって共存を許された細菌のひとつが、腸内細菌なのです。

腸内に棲んでいる細菌は、菌種ごとの塊となって腸の壁に隙間なくびっしりと張り付いています。この状態は、品種ごとに並んで咲くお花畑(flora)にみえることから「腸内フローラ」と呼ばれるようになりました。正式な名称は「腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)」です。

腸内細菌の形成パターンは、食生活や生活環境によって一人ひとり異なります。そのため、単純に憧れの人の食生活を真似しても同じような体型にはなりません。私たちが食べたものによって腸内細菌叢のバランスが変わり、消化吸収されるものが変わるのです。つまり、この腸内細菌の働きによって私たちは生かされているし、健康を保つことにも、病気を引き起こすことにも、食べるものが大きく関わっているのです。

そのような大前提を踏まえた上で、Step2では『食べること』、そして『出すこと』についてさらに詳しく見ていきましょう。

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