では、いよいよ優れた結腸洗浄の具体的な方法に入ります。
長年うまく排出されずに堆積し腐敗して固くこびりついた糞便や、有毒物質によって腫れ上がった結腸の腫れ、現代ではほぼ全員が持っている憩室の問題、それらの原因や状態についてくわしく知らなければ間違ったアプローチを繰り返してしまい、さらに症状を悪化させてしまうことになります。
上の写真は、寄付された臓器をシリコン保存した実際の消化管です。メルボルン博物館に展示されています。
水分やいろいろなものがないので隙間がありますが、こちらのイラストと比べると実物の方がずいぶん入り組んでいるように見えます。私たちの臓器は、実際にはこのようにギュウギュウに詰め込んだお弁当のように所狭しと収まっています。さらに人によってはこれらの臓器の周りに脂肪がベッタリ張り付いていたりします。
一箇所でもちょっと糞便が詰まって腫れ上がったり、余分な脂肪が大量に溜まったりすると他の臓器にも支障が出るのがよく分かります。
テレビCMなどでは、問題を提起して私たちの不安を煽ってから、「でも、これさえあれば大丈夫、これで問題解決!」という一連の流れを繰り返しています。それらを観ることで私たちは短期的に問題を解決するのが賢いかのように錯覚し、できるだけ簡単ですぐに問題を片付けられそうなものを選んでしまいます。
最近では提示される選択肢がとても多く、私たちは自分で考えたり自分で選択肢を創り出すスキルすら奪われ、さらに、体験者の声という形で大量のレビューをつけることで、私たちの多数決原理を刺激するため、与えられたものの中から選ぶのが当たり前のようになっています。
でも健康的なからだを手に入れるのに、何か一つの方法だけでは腸はキレイになりませんし、たった一つのことだけで健康の問題が解決するわけがありません。長年痛めつけてきた臓器が一瞬でキレイに生まれ変わるわけがありません。
とにかく、腸をキレイにしないと何も始まらない、何か良いものを食べても、良いサプリメントを飲んでも、運動の習慣を身につけても、まったく意味がありません。腸をキレイにするのが最初のほんの一歩、ファーストステップなのです。
これからいくつかのアプローチをご紹介しますが、どんな方法にも陰と陽(メリットとデメリット)があります。お医者さんに処方されたお薬だって、万が一自分に合わなければ変な反応が起こりますよね。
ただ、どれか一つだけやれば良いというものではありません。仕組みをきちんと理解した上で、頭と心とからだがOKしたお好きな方法をまずは一つ選び、自分に合うかどうか試しながら実践してください。
そして合っていないからすぐやめるのではなく、何か勘違いしていたりプロセスを間違っていないか、本当に自分自身のからだに合っていないのか、からだの状態を注意深く観察して、ささいな変化を感じ取る感覚を身につけることが大切です。
例えば、手っ取り早く腸の中のものを出したい場合にはエネマをおすすめしますが、自宅で自己責任のもとで行うエネマ(エネマバッグに液体を入れ、チューブを差し込んで肛門から直腸に流し込んで腸の中を洗浄する方法)についても、検索するとかなりいろいろな負の情報が出てきます。
私もそれらの記事を大量に読み込んでかなりネガティブなイメージを持っていたので、エネマを知ってからしばらくの間は挑戦する勇気が出ませんでした。
が、
とにかく腸をキレイにしないことにはからだを生まれ変わらせることができないということへの理解が頭と心とからだで一致してからは最初はビクビクしながらでしたが徐々にスムーズに挑戦することができるようになり、自分自身のからだに何が合うのかを試すためにいろいろなものを入れてやってきました。
結局、自分のからだと相談し、様子をよく観察しながら心地よいものを見つけることが健康への早道です。そうやってさまざまなメンテナンス方法を経験則で身につけ、さらに家族についても同じようにひとりひとりに合うものを見つけていくことで知らず識らずのうちに数々のメンテナンス方法を身につけることができます。
ようやく覚悟を決めてエネマに取り組めても、1回や2回のエネマで劇的な変化があるわけでも、エネマさえやればすべてが解決するわけでもありませんし、重度な便秘で腸がつまっている状態でエネマをしたらいろいろな意味でかなり大変なことになります。
そのような場合には、繊維質のものを多く摂ったり、押し出す作用が強いものを摂取したりして、まだ腸壁にこびりついていない糞便を排出する必要があります。自分の状態をよく見極めて、アプローチを選んでください。
逆に、ほぼ毎日排便がある場合は、エネマは必要ないと思うかもしれません。その場合には、毎日何回の排便があるか、が鍵になります。前日3食食べたならば3回、2食だったなら2回、というのが目安になります。
また、エネマのネガティブイメージの中には、自然な排便ができなくなるんじゃないかという不安があると思います。私は毎朝快便でしたが、排便後にエネマを取り入れてみました。根こそぎ排泄したいという感覚です。そして、驚きました!ちょうどよいサイズのものをスッキリ排便したつもりでも、エネマをすると同じぐらいの便がさまざまな形状で出てくるのです。そして、先ほど(排便後)とは比べものにならないぐらいの腸の空っぽ感を感じられます。
さらに、この後にお伝えするさまざまなアプローチと食べものの組み合わせによって、1日2〜3回排便が出る日もあります。
エネマが習慣になって、中には40年以上継続している人もいます。そこまでいくともう生涯やめることはないのでしょう。彼女は自然なお通じ以前にとにかく出して腸をキレイにすることが1番大事だと言います。60歳を超えているのにスベスベで透明感のある肌をしています。
やはり自己責任において行うため衛生面での不安はあると思いますので、エネマは必須、とか推奨しているわけではありません。
大切なことは、自分の腸の状態を意識すること。これまで気にも留めていなかったからだのさまざまなメカニズムに目を向けて、熱や血圧などの上っ面なものではなく、本当の意味で自分のからだの健康を管理、維持するために主体的に働きかけて、その効果を実感したりしなかったりしながら、自分のからだに合うアプローチを試し始めることです。
アプローチに入る前に
具体的なアプローチに入る前に、私たちの認識を正常に戻す必要があります。誰かが勝手に決めた価値観や常識ではなく、本来の自分の人間としての感覚を取り戻すために大事な3つのマインドセット(心がまえ)をお伝えします。
フィーリングは100%正しい
ベジタリアンがいいよ、とか断食がいいよ、とか、肉はダメだ、フルーツはダメだ、とか、ローフードがいいよとかいわれても、食べたいものは食べたいし、やりたくないものはやりたくないですよね?
そういうフィーリングにできる限り耳を傾けることで、本能的な感覚を取り戻すことができます。
私も実際、さまざまな健康法を試しましたが、どれにもメリットとデメリットがあり、あるからだの状態にはベジタリアンやローフードの食事が心地よい時もあり、ある程度(3日〜1週間ほど)の期間を過ぎると、また肉が食べたくなったりして。極端な食事法の時には回復食という段階が大切ですが、その後に普通に肉を食べます。
ベジタリアンになる!と決めたんだから、他のものは食べちゃダメだ!などと一つの概念に固執しては絶対にいけません。その時々でからだが求めるものは違いますし、日々新しいものを学べばこれまでの信念が変わることもあります。これまで信じていたことと真反対の概念に出会い、どっちが正しいの?と摩擦や混乱が起こることで人類は進化してきたのです。
私たちは長年の教育で、先生とか親とか周りの人にあれはダメだ、これはダメだ、ワガママだ、我慢が足りない、コロコロ意見を変えるなんて信用できない、などという認識や一方的な価値観を植え付けられているので、自分のフィーリングに従うことは最初は本当に難しいと思います。
でもその結果、自分のフィーリングとのズレが少しずつストレスになり、私たちの心やからだの健康は蝕まれています。あるいは自分の考えや意思、感じ方にとても鈍感になっているかもしれません。
一度決めたことは何でもやり遂げなければいけない、と一つのところに留まり続けるのは成長していないことと同じことだと思います。学んでは試して実感し、良ければ取り入れていく。それが成長であり、進化なのです。
現実的には嫌でもやらなければいけないことはたくさんありますが、まずは自分はこういうことにストレスを感じる、どれぐらいのストレスを感じている、といちいち認識することが大切で、認識できることで意識的にヒーリングを行うことや、物事の捉え方を変えたり分離する術を身につける準備ができるようになります(このあたりは別のテーマのところでくわしくお話します)。
治すのは自分
病気になったら病院に行ってお医者さんに治してもらえばイイ。
これも私たちが長年の情報操作によって洗脳されている考え方です。
でも、よく考えてみると、ほとんどの病気や体調不良は、自分が選んで食べてきたもの、環境や習慣、物事の捉え方や考え方によって起こっていますよね?つまりは自分が招いているわけです。
それなのに、いざ病気になったらお医者さんに治してもらおうと考えて、自分のことやこれまでの生活習慣を何も知らないまったくの赤の他人のお医者さんに生命を委ねても治るわけがないですよね?お医者さんは、私たちの生活習慣などにはまったく関心を持たず、把握しようともせずにこれまでの症例を当てはめて薬を処方するだけなのですから。
症状は治まったとしても根本原因は解決されないのですから、また何度も同じような症状を繰り返します。
自分のことは自分が一番分かっているはずですし、少なくともお医者さんの方があなたのことを隅々まで理解していることはあり得ません。
病気になるのも自業自得なら、自分のからだを整えて病気になりにくいからだをつくることができるのも自分。そういう自己責任の意識を持つことで主体的に健康なからだづくりに取り組むことができます。
平均と比べるな
血圧や血糖値の平均、この身長の平均体重、テストの平均点などなど。平均てただのランダムな数字の真ん中というだけなのに、私たちはずっと平均を意識するように刷り込まれてきたように感じます。
病院ではこれまでの患者さんのデータから割り出したさまざまな平均値を取り上げて比較し、平均からはみ出しているからおかしいと脅されたりします。
私は血圧がかなり低く、基本的に上が100を超えることはありませんが、だからといって貧血になったことはないし、朝起きられないこともありません。
結局私たちのからだはこれまで食べてきたものや様々な習慣、生活環境などによってひとりひとり完全に違うので、平均と比べるだけで分かるものなんてほとんどないし、あてにならないのです。
均一化されたロボットなどではないのですから、人それぞれ得意不得意があるし、人より突出しているものもあれば人より下回るものがあって当たり前なのに、それをわざわざ平均に合わせようとすることで逆に不健康になってしまうこともあるのです。
平均睡眠時間が短くても体質的に平気な人もいれば、心拍数が平均より高くてもそれがちょうどよい人もいるわけです。それでも自分の心とからだが健やかに過ごせているならそれで良いはずなのに、それを平均値よりも高いから何とかしないと、とあれこれ気に病んでいては別の病気になってしまってもおかしくありません。
数十年前からは子どもをターゲットにしたビジネスによって、たとえば、周りの子どもと比べるとソワソワして落ち着きがなく、いたずら好きの子は多動性障害だといわれたり、ある特定のものに執着してそれ以外のものにはまったく興味関心を示さない子はアスペルガーだといわれたりするようになりました。他の子と絡もうとしなかったり、一つのことだけは異様に細かく記憶することができるのにそれ以外のことはまったく覚えられないとか・・・
よくよく考えてみると、それが普通の子どもというか、逆にまんべんなくいろいろなものに平均的に興味を持つことの方が珍しいというか、大人だって基本的に好きなものや興味関心のあるものは覚えられるけど他のことはまったく覚えられなかったり、無理やり自分の興味を分散することはできないし、人と絡むのが苦手で一人で居るほうが好きな人もいると思うのです。
もともとひとりひとり違う個を持って個性豊かに生まれてきたのに、特に多種多様な文化や食生活、環境が入り混じった現代の、感受性豊かで多感な時期に無理やり平均という型にはめこもうとする方がおかしいと思います。
健康も同じことで、病気の診断を受けて余命宣告を受けたとしても、それも単なる平均で、平均的にみてだいたい3ヶ月以内に死にますよというものです。
でもすべての人が平均的なライフスタイルを送っているわけではないし、平均値の中にはものすごく変なライフスタイルでストレスまみれのひどい状態の人も含まれているので、本当にあてはまらないというか、平均を気にしすぎて無理にあてはめようとすると逆に病気になってしまいます。
だから、あまり平均を意識したり気にしすぎない方が良いし、それよりも自分のからだや感覚を大切にした方が良いということです。
宿便を出し切り腸をキレイにするアプローチ
では、いよいよ腸をキレイにするための具体的なアプローチに入ります。
基本的なアプローチとしては、①ちゃんとキレイな水を飲む、②発酵食品を食べる、③食物繊維をたっぷり摂る、④運動をする、です。
①キレイなお水について
キレイなお水については、こちらの記事にかなり詳しく書いていますのでご一読ください。
飲み方は、まず朝起きてすぐに冷たいキレイなお水を500ml飲みます。冷たいお水は頭を目覚めさせ、胃腸を刺激し、ぜん動運動を促すなどの信号を臓器に送ります。私たちは寝ている間に軽い脱水状態になっているので、何となくドロドロネバネバしているものをスッキリ押し流すイメージです。
ダイエット、便秘解消、潤ったぷるぷる肌……これらに欠かせないのが「良質な水分を摂る」ということ。とはいえ、飲み慣れていないと、味気なく感じることも。「ただの水なんて味がないから飲みにくい。美味しいと思わない」という人も少なくありません。水分補給なら、ノンカロリーのお茶やコーヒーでもよいのでは?と考えがちです。
ですが、お茶は体内で「お茶の成分」と「水分」に分かれます。大量のお茶を飲むと、お茶の成分を濾過する腎臓が働きっぱなしになり、体に負担がかかります。また、お茶はお茶自体を体内で分解する際に水を必要とする上、利尿作用のおかげで飲んだ分以上の水分を体外に排出してしまいます。水分補給のつもりが必要以上に水はけがよくなってしまうかも。これではスリムな身体も潤った肌も手に入りません。効率のよい水分補給はお茶やコーヒーには難しいもの。体に負担をかけず、内側から潤うには、ただの水がやっぱり最強なんです。
しかし、ここで
冷たい水は胃腸に負担をかけるしからだを冷やすから逆にからだに良くないんじゃないか?
という疑問をもつ人もたくさんいます。
あくまで自分のからだの声やフィーリングを大切にしてほしいと思いますが、仮に0℃の水を飲んだからといって、からだが0℃になるわけがありませんよね。0〜4℃の冷水は分子的にももっともヒーリング効果が高いといわれており、細胞に吸収されにくく、余分な熱を発散させて目覚めさせ、スピーディーに胃腸を刺激するため、便秘を解消する効果があります。
白湯が良いというのもよく聞きますが、白湯はからだに吸収されやすい水分なので飲みすぎると逆にむくみの元になることもあります。冷え性の人や内臓が弱りきっている人、水太りの人は1日に800ml程度を目安に摂取すると良く、夜歯磨きをして寝る前に湯呑み1杯ほどの白湯を飲むことで、副交感神経が刺激されて眠くなり、じんわりからだを温めてスムーズな睡眠につながる効果があります。
寒すぎる地域や時期には、冷たい水を飲む気にはなれないと思います。冷やすのが良いということではなくバランスをとるための一つの方法として、朝起きてすぐにキレイな水を飲む目的はスムーズにからだを目覚めさせることであり、パフォーマンスの良い1日を過ごすための最初のステップです。
からだの声やフィーリングを大切に、目的を意識して習慣化し、継続していきましょう。
②発酵食品を積極的に摂る
バクテリアや酵母が糖を分解するプロセスのことを発酵といいます。
食品の保存性を高めるだけでなく、発酵食品を食べることで、腸内に有用なバクテリアやプロバイオティクスの数を殖やすこともできます。ちなみに有用ではないバクテリアなどを殖やすことを腐敗といいます。
プロバイオティクスは、消化の改善や免疫の向上、体重の減少など、私たちのからだに多くの健康上の利点をもたらしてくれることが分かっています。
おすすめの発酵食品5つ
1.キムチ
キムチは韓国発祥の漬物です。白菜が一番ベーシックですが、大根、キュウリ、エゴマの葉などさまざまな素材で作られていますが、実は本物のキムチと偽物のキムチがあるのを知っていますか?
本物のキムチは白菜を1日ほど塩漬けした後水を洗って塩抜きしたものに、トウガラシ、ニンニク、ニラ、セウジョッ(アキアミの塩辛)、イカ、イワシなどの塩辛、魚醤、果物などを混ぜ合わせて作ったヤンニョムと、小麦粉と水で作ったキムチのりを混ぜ合わせたものを全体にまんべんなく和えて4〜5日ほど乳酸発酵させて作ります。
簡単にできるのに美味しくて、ダイエットや免疫力アップ、美肌効果まで期待できるのは、この発酵という過程で発生した植物性の乳酸菌が発生するから。だから本物のキムチは辛いだけでなく酸味があります。
過去に作ったキムチレシピとキムチの詳しい健康効果の記事はこちら
一方、偽物のキムチは発酵させずにキムチ味の調味料に野菜を漬け込んで作っているため、乳酸菌は含まれておらず、健康効果は期待できません。
ちなみに、日本が誇るぬか漬けも植物性の乳酸菌たっぷりの美味しい発酵食品ですが、ぬか漬けは保存性を高めるために食塩が多く使われています。食塩の摂りすぎにより高血圧やむくみの原因となるため、いくら健康によいからと、たくさん食べるのはNGです。
ぬか漬けに含まれる食塩は、以下の量です。
・きゅうり(3切15g)…0.8g
・だいこん(3切30g)…1.1g
・なす(3切15g)…0.4g
日本人の食事摂取基準(2020年版)による1日の食塩相当量の目標量は、男性7.5g未満、女性6.5g未満です。食塩の摂取量は1食あたり2~2.5g程度におさめる必要があるので、ぬか漬けをたくさん食べてしまうと、あっという間に目標量を超えてしまうでしょう。
食べる量は2~3切ほどにおさめて、毎食食べずに朝だけにする、などと工夫しましょう。また手作りのぬか漬けであれば、食塩の量も調整ができるので、控えめにしておくのもよいですね。
2.納豆
納豆は大豆を発酵させた日本の伝統的な発酵食品の一つです。
納豆1パック(50g)あたりの栄養素は
カロリー:100kcal
タンパク質:8.25g
脂質:5g
炭水化物:6.05g
強い風味やネバネバした食感が苦手な人もいますが、腸をキレイにするために役立つ食物繊維のほか、ビタミンB2、ビタミンK、葉酸、パントテン酸、抗酸化物質のほか、ナットウキナーゼというタンパク質分解酵素も豊富に含まれています。
ビタミンKには血液凝固のほかに、骨の形成(骨をつくる骨芽細胞の働き)を促進する作用と骨吸収(骨を壊す破骨細胞の働き)を抑制する作用があります。この2つの働きにより、骨粗鬆症における骨量の減少を抑えたり痛みをやわらげる効果があるとされており、日本人女性を観察した研究によると納豆の摂取量と閉経後の女性の骨密度の関連性がみられました。(i1,i2)
引用元:カロリーSlism
ナットウキナーゼには、血管につくられる血栓を溶かしやすくする働きがあり、脳梗塞や心筋梗塞などの血栓症を予防する効果があります。こちらの研究では、ナットウキナーゼの摂取によって血栓の予防や溶解の効果が見られています。
枯草菌という細菌の一種である納豆菌は、胃酸に負けることなく生きたまま腸内にたどり着き、もともといる善玉菌を活性化させ、悪玉菌を抑制して腸内環境を改善してくれます。
3.紅茶キノコ(コンブチャ)
紅茶キノコは、泡立ち、酸味、風味豊かなスパークリング発酵茶です。紅茶キノコのスコビー(SCOBY)という円形でゼリー状の細菌と酵母の共生コロニーによって、砂糖入りのお茶を発酵させたものです。
酢酸菌、乳酸菌、酵母などの多様な微生物が含まれており、腸内環境を整える働きがあるといわれています。また、テアニンやタンニンなどのポリフェノールを豊富に含むため、アンチエイジング効果や美肌効果があります。
抗菌作用のあるお茶のポリフェノールや酢酸が豊富で、どちらも望ましくないバクテリアや酵母の増殖を抑制するといわれています。紅茶の他、緑茶、白茶、烏龍茶などのお茶と砂糖が紅茶キノコの発酵のエネルギーになります。ハーブティーは紅茶キノコの発酵を妨げたりスコビーの成長を阻害する可能性のあるものもあるため避けます。茶葉の残留農薬もスコビーの成分を損なう恐れがあるため、有機栽培や無農薬のお茶の方が安心です。
置き換えダイエットによってコンブチャがブームとなりましたが、製品化されているものは流通の過程で発酵が進んで品質が変わらないように殺菌処理されており、有害な雑菌だけでなく、からだに取り入れたい有用な菌まで死滅している場合があります。また、飲みやすくするために甘味料や添加物、香料が添加されている商品もあります。
一方、スコビーと茶葉、砂糖、キレイな水を使って自分で発酵させた紅茶キノコは、加熱しない限り生きたまま菌を取り入れることができますが、自己管理で容器や温度、衛生面に気をつけないと雑菌が増えてしまうこともあるため注意が必要です。
自家製の紅茶キノコが成功すると、お茶に含まれる窒素、カフェイン、テアニンなどの栄養素と砂糖が栄養となってスコビーが成長し、紅茶キノコを繰り返し作り続けることができます。
スコビーの酵母が砂糖をアルコールに変換し、バクテリアがアルコールを酢に変換するため、甘みと酸味のバランスが良いお好みの味のところで保存瓶などに移し替えて冷蔵して飲み物として楽しむことも、さらに室温で数日熟成させて甘酸っぱい風味を増すこともできます。
二次発酵させることでより発泡性が増し、フルーツやショウガ、ジュースなどの風味を加えてお好みの風味豊かた味わいを楽しむこともできます。
4.ケフィア
ケフィアは、アジアとヨーロッパを分ける山岳地帯で生まれたケフィア粒から培養された発酵乳飲料です。ケフィア粒は酵母の乳酸菌のコロニーで外観はカリフラワーに似ており、ケフィア粒を牛乳や山羊乳に加えると約24時間かけてケフィア粒の微生物が増殖し、ミルクの糖分を発酵させてケフィアに変換します。
ケフィアはヨーグルトのような酸味がありますが、ヨーグルトほどの粘稠度はなく、飲み物に近い性質があります。カルシウムやタンパク質、ビタミンB群が豊富に含まれており、最大61種類もの微生物が含まれているともいわれ、他の多くの発酵乳製品よりも強力なプロバイオティクス源となり、消化、体重コントロール、メンタルヘルスを助けるなど、さまざまな健康効果があるとされています。
ケフィア特有のプロバイオティクスであるラクトバチルス・ケフィリは、サルモネラ菌やヘリコバクター・ピロリ菌、大腸菌など、さまざまな有害細菌の増殖を抑制できるという研究結果があります。(i3,i4)
またケフィアに含まれる炭水化物の一種であるケフィランには抗菌作用があります。(i5)
通常の乳製品には乳糖と呼ばれる天然の糖分が含まれていますが、乳糖不耐症の場合には乳糖を適切に分解して消化することができないため、乳糖不耐症の人が乳製品を摂取すると、けいれんや腹部膨満、下痢などの症状を引き起こします。
ケフィアやヨーグルトなどの発酵乳製品に含まれる乳酸菌は、乳糖を乳酸に変えるため、通常の牛乳よりも乳糖が少なくなっています。さらに乳糖の分解を助ける酵素も含まれており、乳糖不耐症を改善したという研究データもあります。(i6)
全脂肪乳で作られたケフィアは、カルシウムだけでなく、カルシウム代謝において中心的な役割を果たすビタミンK2の優れた供給源でもあります。ビタミンK2を摂取することで骨折のリスクが81%も減少するというデータもあります。(i7,i8)
別の研究では、毎日200mlのケフィアを6週間摂取すると、心臓病やガンなどの慢性疾患の発症の原因として知られている炎症のマーカーが減少することが分かっています。(i9,i10)
自宅ではホームメイド・ケフィアという粉末を牛乳に混ぜることで手軽にケフィアを作って摂取することができます。
5.ザワークラウト
ザワークラウトは、キャベツを細かく刻んで発酵させた漬物です。2000年以上前に中国で生まれ、多くの文化による試練を乗り越えて人気のおかずや調味料となり、その名前の由来となったドイツで特に高く評価されています。
ザワークラウトは、発酵によって新鮮なキャベツをはるかに超える栄養と健康上のメリットがあります。ただし、保存性を高めるために多くの塩分を含むものもあるため、その他の漬物同様、摂取量には注意が必要です。
ザワークラウトは食物繊維、ビタミン、ミネラル、プロバイオティクスが豊富で、そのプロバイオティクスはこれらの栄養素の吸収を助けます。
低温殺菌されていないザワークラウトに含まれるプロバイオティクスは、他の発酵食品同様、抗生物質の使用によって腸内細菌が死滅した腸内環境を改善するのに役立ちます。また、ガス、膨満、便秘、下痢、クローン病、潰瘍性大腸炎などの症状を軽減するのに役立つという研究データもあります。(i11,i12,i13,i14)
プロバイオティクスのサプリメントには、1回分量に10〜500億コロニー形成単位(CFU)が含まれていますが、1グラムのザワークラウトには1億〜10億のCFUが含まれるといわれています。
さまざまなものから異なるプロバイオティクスを取り入れることで、より多くの幅広い健康上の利点を得ることができます。
さらに、ザワークラウトにはビタミンCと鉄分が豊富に含まれており、ザワークラウトを食べることで免疫力を健康的にアップさせることができます。
ザワークラウトの主成分であるキャベツには、特定のガンのリスクを減らすのに役立つとされる抗酸化物質などの有益な植物化合物が含まれており、これらの化合物がDNAの損傷を減らし、細胞の突然変異を防ぎ、腫瘍の発生につながる過剰な細胞増殖を阻止するのに役立つというデータもあります。(i15)
また、ザワークラウトにもビタミンK2が豊富に含まれています。ビタミンK2は骨の代謝を助け、カルシウム沈着物が動脈に蓄積するのを防ぐことによって心臓病のリスクを減らすとされています。(i16)
これらの健康効果を求めて市販のザワークラウトを購入する場合には、他の発酵食品同様、低温殺菌されたものや、防腐剤、砂糖が添加されたものを避け、キャベツと塩のみ(もしくはニンジンなどの野菜が少量足してある)で作られたものを選んでください。
ザワークラウトは材料がとてもシンプルなため、おうちでも簡単に手作りすることができます。参考までに基本的なザワークラウトのレシピをご紹介します。
基本的なザワークラウトのレシピ
材料
- キャベツ・・・小1個
- 天然塩・・・大さじ1(18g)
- にんじん・・・2〜3個、細かく刻んだもの(お好みで)
- にんにく・・・2〜3片、細かく刻んだもの(お好みで)
大きめのガラスボウル、ザワークラウトを保存する容器(容量1リットル程度を熱湯消毒したもの)、120g程度の重し、キッチンスケールを用意します。
作り方
- キャベツの外葉を捨ててその内側の葉を1枚取っておきます。残りは芯を除いて細かく刻みます。にんじんやにんにくを入れたい場合は、同様に刻み、総重量が800gになるようにします。(スライサーなどでもOK)
- 1.の野菜をボウルに入れて塩を加え、ボウルの底に塩水がたまり始めるまで、数分間揉み込みます。
- 2.を清潔な保存容器になるべく隙間がなくなるように詰め込み、残りの塩水を注ぎます。キャベツなどの野菜が容器内の空気に触れないよう、塩水に完全に浸っていることを確認してください。
- 前に取っておいたキャベツの葉を容器間口のサイズに切り取ります。野菜が表面に浮くのを防ぐために入れて内蓋のようにしてください。
- 発酵中に野菜が漬け液から飛び出さないように、その上に重しをします。
- 室温で直射日光を避けて1〜4週間保管してください。
7日後から味わうことができます。発酵させる時間が長ければ長いほど、味は強くなります。
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