薬の場合、飲み薬だけでも錠剤、カプセル剤、粉末剤、顆粒剤などさまざまな形状があります。飲み薬以外では、軟膏剤、注射剤、点眼剤など多くの種類があります。このような形状のタイプを散型と呼びます。ハーブと精油を利用するときにも、31種類もの散型がありますが、症状や使用したい部位によって、目的にあった最適な素材(ハーブや精油)と散型を選ぶことが大切です。
ハーブの場合は、散型によって取り出せる有効成分の種類が違います。ハーブは多様な成分を含んでいますが、大きく分けると水に溶ける成分(水溶性成分)と油に溶ける成分(脂溶性成分)に分類できます。たとえば、ハーブティーは熱湯で抽出するため、おもに水溶性成分が溶け出します。チンキ剤はアルコールで抽出するため、水溶性と脂溶性の両方の成分が溶け出します。それだけにどんな散型を選ぶかは、とても重要なポイントになります。
性質 | おもな植物化学成分 |
水溶性 |
アルカロイド、植物酸(勇気酸、果実酸)、タンニン、苦味質、粘液質、配糖体、 ビタミンB群・C、フラボノイド、ポリフェノール、ミネラル |
脂溶性 | カロテノイド、ステロール、精油、ビタミンA・D・E・K、油脂 |
ハーブを漬け込んだり、仕上がったチンキ剤や軟膏剤などを保存するための容器は、雑菌が入るのを防ぐために、使用前に必ず消毒します。消毒方法は2通りあります。
■煮沸消毒
■アルコール消毒
ウォッカやホワイトリカー、無水エタノールなど、アルコール度数が35度以上のアルコールで消毒します。容器の8分目ほどまでアルコールを注ぎ入れ、ふたをしてから容器を振ります。あとはアルコールを捨て、ほこりがつかないように自然乾燥させます。
■4シーブスビネガー&オイルのレシピ
ハーブの香りや成分を酢や油に移すことによって、その香りや風味を長く愉しむことができるのが、ハーブビネガーとハーブオイルです。ドレッシングに利用したり、マリネやピクルス液に用いたり、肉や魚の調味料に使ったり、その使いみちはいろいろです。
ハーブビネガーはお風呂に入れて香りを愉しんだり、石けん洗髪のヘアリンスとして使うこともできるのでとても重宝します。
4シーブスビネガーに含まれるハーブには、優れた免疫力の向上効果や抗感染症性、抗菌性や鎮痛性、緑膿菌による傷の治癒効果、落ち込んでいた気分を高揚させる働きなど、さまざまな研究からその効用が分かってきており、これらの有用なハーブを漬け込んだ4シーブスビネガーは今もフランスで民間伝承として受け継がれています。ハーブや精油にはこれらの効能を期待できるものがとてもたくさんあるため、4シーブスブレンドにはさまざまなレシピがあります。
私は、これまで生薬やハーブ、スパイスを浸出油(インフューズドオイル)にして石けんを作ったり、チンキ剤にしてスキンケアに利用したり、まったく出なかった母乳がハーブティー(茶剤という浸剤)を飲むことで完全母乳で育てられるまでになりました。MajoLaboの4シーブスビネガーのレシピでは、特に料理に使いやすいものを組み合わせています。
【材料】
・フレッシュハーブ
(ハーブの量は目安です。お好みの量をそれぞれ細かく刻む。ドライハーブの場合は1/3量で。)
ローズマリー 大さじ1
セージ 大さじ1
マジョラム 大さじ1
タイム 大さじ1
ペパーミント 大さじ1
ニンニク 2片
その他、クローブ、シナモンスティック、ブラックペッパーやトウガラシ、カルダモンなどのスパイスを加えると味が引き締まります。
・酢またはオイル(お好みのもの) 2カップ
【つくり方】
- フレッシュハーブはよく洗い水気を拭き取って乾かしておく。ドライハーブの場合はそのままでOK。
- 煮沸消毒して乾かした清潔な瓶に1.のハーブを詰める。
- 瓶に酢またはオイルを注ぎ入れる。ハーブが完全に浸っていないと腐ってしまうので、ハーブ全体が浸かるように酢やオイルを注ぐ。
- しっかりふたをして日の当たらない室内で1日1回以上ゆすりながら2週間程度ハーブを漬け込み、酢またはオイルにハーブの香りが移ったらハーブを取り出す。
【使い方や保存方法】
・金属のふたは酸化して味に影響を及ぼす場合があるため、とくにハーブビネガーを作るときには、コルクなど金属ではないふたの瓶をおすすめします。
・ビネガー、オイルとも常温で1ヶ月、冷蔵保存すれば3ヶ月程度の保存が可能です。
・新月に漬け込み、満月に完成!逆に満月に漬け込み、新月に完成でもOK!月のパワーを取り込むことでさらにパワーアップを狙います。
酢やオイルに漬け込む方法は、収穫したハーブや買ったハーブが残ってしまったときに便利な保存方法です。同じようにはちみつに漬け込んだり(ハーブハニー剤)、クリームチーズやバターに混ぜ込んだりしても保存効果がアップし、味のバリエーションを愉しむことができます。
また、植物をアルコール類(ウォッカなどの無臭蒸留酒または無水エタノールに浸すことで、植物に含まれる成分をアルコール液に溶出させたものを「チンキ剤」と言います。水に溶けにくい有効成分もアルコール類には溶出するため、水溶性成分や脂溶性成分など多様な成分を含みます。また、アルコール類には殺菌作用があるため、約1年間の長期保存が可能です。
チンキ剤は、薄めて飲んだり、湿布剤やローション剤として外用に使われます。チンキ剤は飲むことで口腔粘膜や胃からも吸収されるため、即効性があり、少量でも十分に効果を発揮します。ちなみに、ハーブティーは小腸で吸収されてから血液に入って全身を循環するため、ゆっくりと効いていきます。
注意すべきは、子どもの誤飲や火気、そして使用後や保存中にエチルアルコールが揮発して濃厚になる点です。密閉容器に入れ、使用後はすぐにふたをしっかり閉め、子どもや火のそばでは使用、保存しないように気をつけます。
なお、無水エタノールは外用チンキ剤を作るときのみに使用し、内用チンキ剤を作るときには無臭蒸留酒(ウォッカやホワイトリカー)を使用します。
■4シーブスブレンドの抗菌スプレーレシピ
4シーブスビネガーは、15世紀にヨーロッパで大流行したペストから、墓泥棒の4人組を守ったことからその名で呼ばれるようになりました。
精油を使って作るスプレー剤はとても手軽に作ることができて、気になった時やリフレッシュしたい時にすぐにシュッと使うことができます。手軽に持ち運ぶことができるので、いろいろな場所でのちょっとしたリフレッシュや部屋のにおい消しなどに役立つのが、スプレーを使った芳香浴です。精油と水は分離しますが、アルコールには溶けるので、スプレー剤は精油と無水エタノール、精製水を混ぜて作ります。
【材料】仕上がり約100ml
・精油
・無水エタノール 20ml
・精製水 80ml
・ビーカー 100ml
・容量100~150mlのできればガラス製のスプレー容器
※プラスチック容器は精油によって変質する恐れがあるため。
・ガラス棒またはステンレス製のさじ
【つくり方】使用する器具や容器は上記の通り消毒してから使用する。
- ビーカーに無水エタノールを入れる。
- 1.に精油を加えて、ガラス棒またはステンレス製のさじでよく混ぜる。
- スプレー容器に入れる。
- ビーカーで計量した精製水を4.のスプレー容器に入れて蓋をし、よく振り混ぜたら完成。
【使い方と保存方法】
・空中に向けてスプレーする。
・時間が経つと精油の油分と水が分離することがあるため、使用する前に必ず容器をよく振って中身を混ぜてから使用する。
・アルコール分が揮発しないように保存容器のふたをしっかりと閉め、冷暗所で保存する。
・約3ヶ月以内を目処に使用する。
・アルコールが含まれているため、子どもの誤飲や火気に十分注意する。
コメント