エコビレッジ(エコロジカル・ビレッジ)は、持続可能な生活を目指す共同体であり、世界中で様々な取り組みが行われています。成功例と失敗例を挙げ、それぞれの要因を見てみました。
成功例
1. Findhorn Foundation(フィンドホーン財団) – スコットランド
概要
-
1962年に設立された世界的に有名なエコビレッジ。エコロジー、スピリチュアル性、共同体の発展を融合させた活動を行っています。
成功の要因
・多様な収益源: 持続可能な建築、教育プログラム、観光など、多面的な収入を確保。
・教育と影響力: 持続可能な生活についての研修やリーダー育成プログラムを提供し、国際的に影響力を拡大。
・ガバナンスの工夫: 合意形成プロセスや円滑なコミュニケーションを確立し、住民間の調和を保つ。
特徴的な成果
- 世界的なエコビレッジネットワーク(GEN)の創設に関与し、モデルケースとして機能。
2. Auroville(オーロヴィル) – インド
概要
1968年にインドで設立された、ユネスコも支持する国際共同体。世界各国から住民が集まり、調和と平和を目指した持続可能な生活を追求しています。
成功の要因
・多様性と自治: 多国籍の住民が参加し、自治を重視した運営。
・環境再生の取り組み: 荒廃した土地の緑化に成功し、農業や再生可能エネルギーに関する先進的な取り組みを実施。
・資金支援: 国際的な寄付や助成金を活用して安定した財政基盤を確保。
特徴的な成果
緑化や土壌改善を通じて、地域の生態系を劇的に改善。
3. Damanhur(ダマヌール) – イタリア
概要
1970年代に北イタリアで設立された共同体で、自己表現やスピリチュアル性を重視。地下寺院「人類の寺院」は観光資源としても有名。
成功の要因
・独自文化の創造: 芸術、音楽、教育活動が盛んで、住民の強い一体感を生む。
・観光と経済活動: 芸術作品や教育ツアーが収益源となり、共同体の経済基盤を強化。
・多様なプロジェクト: 持続可能な農業、エネルギー、建築に取り組むことで外部とのつながりを維持。
失敗例
1. The Farm(ザ・ファーム) – アメリカ
概要
1971年にヒッピー文化の流れで設立されたコミューン型エコビレッジ。オーガニック農業や自然療法で注目を集めましたが、経済的な問題で規模を縮小。
失敗の要因
・経済の持続可能性の欠如: 自給自足に依存しすぎた結果、現金収入が不足。
・人口増加による負担: 住民の増加に伴い、資源管理が難しくなる。
・外部との調和の欠如: 自分たちだけの理想に固執し、外部との経済的つながりを軽視。
教訓
理想だけではなく、現実的な経済基盤と外部との連携が不可欠。
2. Crystal Waters(クリスタル・ウォーターズ) – オーストラリア
概要
パーマカルチャーを基盤に1980年代に設立されたエコビレッジ。一時期は高い評価を受けたものの、住民の減少が続く。
失敗の要因
・人口の流動性: 住民の定着率が低く、コミュニティの一体感が希薄に。
・不十分な資金計画: 住民の経済活動が長期的に持続せず、財政的に困難。
・管理の問題: ガバナンスの不備やリーダーシップの欠如で、内部対立が発生。
教訓
コミュニティの長期的な安定を確保するための仕組み作りが重要。
3. Twin Oaks Community(ツインオークス) – アメリカ
概要
1967年にバージニア州で設立された共同体。労働シェアリングや平等を重視しましたが、住民間の価値観の対立が発生。
失敗の要因
・価値観の違いによる内部摩擦: 住民が増えるにつれ、平等をめぐる意見の違いが深刻化。
・労働負担の偏り: 労働が公平に分配されないことへの不満が蓄積。
・長期的なビジョンの欠如: 成長に伴う新しい課題に適切に対応できなかった。
教訓
コミュニティの規模拡大に伴う価値観の調整と、役割分担の公平性が必要。
まとめ
成功例は、多様な収益源、外部との連携、持続可能なガバナンスを重視しているのが特徴です。一方、失敗例は、理想に偏りすぎて現実的な経済基盤や住民間の調和が取れなかったことが共通点です。
エコビレッジの成功には、次の要素が重要だと感じました。
1:経済的に持続可能な仕組み。
2:住民間の透明なガバナンスと合意形成。
3:外部とのつながりを維持しつつ、内的な一体感を保つ仕組み。
ご縁があって集まったそれぞれが心地良く自分を愉しみ、他の幸せを自分ごとのように心から喜べるような互いの意識と、甘えでも綺麗事でもない真心を伝え合うことを大前提に、これらを踏まえた計画を立てることで、エコビレッジの可能性を最大化できるかもしれません。
コメント